本県チーム団体初V・東北六県囲碁・個人戦も全員入賞
(2021年6月28日山形新聞より)
団体戦で初優勝を果たした本県チームの安田道隆監督(S38卒)、太田尚吾六段(H18卒)
斎藤欣也六段、舩山悠介六段=盛岡市・ホテルニューカリーナ
山形新聞社など東北5新聞社が主催する第65回東北六県囲碁大会は最終日の27日、盛岡市のホテルニューカリーナで3〜5回戦が行われ、団体戦は本県チームが3勝1敗で悲願の初優勝を果たした。個人戦も舩山悠介六段(31)=高畠町=が先鋒(せんぽう)戦を制したのをはじめ、太田尚吾六段(33・H18卒)=山形市=が大将戦2位、斎藤欣也六段(53)=酒田市=が副将戦3位で、全員が入賞した。
初日白星発進の本県チームは、3回戦で前回大会優勝の宮城県と対戦した。太田六段は終始相手に先行される展開。上辺に厚みを築いて必死に食い下がったが大勢は変わらず敗れた。斎藤六段は捨て石作戦で中央に厚みを築き、相手の弱みに猛攻を仕掛けて勝利。舩山六段は厚みを利用した隙のない攻めで優勢を保ち、そのまま押し切った。
福島との4回戦は3―0で勝利。太田六段は互角の攻防で中盤に突入し、余計なコウ争いになり危ない場面もあったが、何とか優勢を保ち勝った。斎藤六段は中盤以降、相手の猛攻に苦しんだが、最後はうまく寄せて勝ちを収めた。序盤のさばきに苦労した舩山六段も寄せ勝負で逃げ切った。
5回戦は岩手県を相手に1―2で負け、今大会初黒星を喫した。太田六段は中盤以降、一方的に攻められ敗戦。斎藤六段は中盤に深追いしすぎて不利になり、挽回を図ったが及ばなかった。舩山六段は序盤から地が先行し、逃げ切った。
団体戦初優勝を果たした安田道隆監督(79・S38卒)=米沢市=は「ひやひやドキドキの連続で疲れたが、その半面、感激もひとしおだ」と喜んだ。
閉会式では、審判長を務めた日本棋院の武宮陽光六段が講評で「レベルの高さに驚いた。実力も拮抗していて、全てが素晴らしい戦いだった」と述べた。
成績は下記の通り。(左が先番、〇が勝者)
- 3回戦
- 山形 2―1 宮城
- 先太田六段 14目半 平岡八段○
- ○斎藤六段 29目半 先中村六段
- ○先舩山六段 13目半 佐藤五段
- 福島 2―1 岩手
- 山形 2―1 宮城
- 4回戦
- 山形 3―0 福島
- ○先太田六段 10目半 宮腰六段
- ○斎藤六段 3目半 先鈴木六段
- ○先舩山六段 5目半 阿部六段
- 青森 2―1 岩手
- 山形 3―0 福島
- 5回戦
- 岩手 2―1 山形
- ○先熊谷六段 中押し 太田六段
- ○渡辺六段 中押し 先斎藤六段
- 先吉原六段 中押し 舩山六段○
- 青森 2―1 宮城
- 岩手 2―1 山形
【総合成績】(勝敗が同じ場合は個人戦の勝ち数、当該選手同士の結果、またはくじ引きによる)
- 団体戦
- (1)山形3勝1敗(2)青森3勝1敗(3)岩手2勝2敗(4)宮城1勝3敗(5)福島1勝3敗
- 大将戦
- (1)平岡聡八段4勝(宮城)(2)太田尚吾六段2勝2敗(山形)(3)宮腰典明六段2勝2敗(福島)(4)野口真弘六段1勝3敗(青森)(5)熊谷将人六段1勝3敗(岩手)
- 副将戦
- (1)嶋脇雄一郎六段4勝(青森)(2)渡辺健六段2勝2敗(岩手)(3)斎藤欣也六段2勝2敗(山形)(4)中村賢一・六段1勝3敗(宮城)(5)鈴木広幸六段1勝3敗(福島)
- 先鋒戦
- (1)舩山悠介六段4勝(山形)(2)吉原理一郎六段3勝1敗(岩手)(3)須藤大治六段2勝2敗(青森)(4)阿部俊六段1勝3敗(福島)(5)佐藤翔五段4敗(宮城)
「監督に恩返しできた」門下生の出場選手
「監督に喜んでもらえて本当に良かった」。本県囲碁界が長年目標としていた東北六県囲碁大会での団体戦優勝を達成した本県チーム。快挙を成し遂げた選手たちの口からは、喜びの声はもちろん、安田監督への感謝の言葉が聞かれた。
太田六段と斎藤六段、舩山六段が口をそろえて安田監督について語ったのには理由がある。3人とも監督に囲碁を教わり、親交を深めた過去があるからだ。監督はいわば師匠であり、3人は“門下生”。監督と選手が一丸となって激戦を勝ち抜いた。
大会を振り返り、太田六段は「苦しい対局ばかりだったが、誰一人諦めずに戦って勝ち取った優勝だ。監督に喜んでもらえたことが何よりもうれしい」。斎藤六段は「優勝は感慨深い。信頼できる仲間と戦うことができ、監督に恩返しができた」と述べ、舩山六段は「本気で優勝を狙っていた。気心が知れた仲間が心を一つにして戦った結果だと思う。監督に感謝したい」と充実した表情を見せた。
安田監督は「優勝は県囲碁界の悲願だった。この歴史的瞬間に監督として立ち会えたことを誇りに思う」と目を細めていた。
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