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笑顔生む自国語の案内・本県を楽しんでほしい
多様な言語での準備が大切・九里広志さん(S40卒)
(2021年2月19日山形新聞より)


一般社団法人支倉常長日西文化協会理事長・九里廣志さん(S40卒)

 新型コロナウイルス感染症のまん延で、まるで鎖国状態です。2019年の夏、スペイン南部のコリア・デル・リオ市から、「サムライの子孫・ハポンさん」(ハポン=スペイン語で日本)が米沢を訪問されたことが、はるか昔のことだったような錯覚に襲われています。この訪問は日西友好通商条約締結150周年の18年に「支倉常長日西文化協会」のメンバーらが、常長たちが滞在した同市を訪れ、親しく交流したことが背景にあります。

 支倉常長は仙台藩初代藩主・伊達政宗の家臣で、政宗と同じく米沢で生まれ、7歳までこの地で過ごしました。慶長の大地震(1611年)と津波の後の復興のために、政宗からスペインとの貿易・交流の目的でスペインに派遣され、洗礼を受けてローマ法王にも謁見しました。7年後の帰国時にはキリシタン禁教令が出ていたため、帰国後については諸説あります。

 懐かしい訪問客を迎えるため、私たちはさまざまな歓迎企画を立てました。市挙げての歓迎式典はもちろん、常長生誕之地の資料館見学や市内の観光地や産業などの紹介。夕方からは市民と交流する「ウェルカムハポン夏祭り」も。男性には紙甲冑、女性にはゆかたを着ていただき、米沢の能「金剛流」や「愛の武将隊」の協力を得て、文化交流や食事交流などの楽しい時間を過ごし、『常長の生誕地・米沢』を満喫していただきました、中でも特に紹介したいのは「スペイン語米沢リーフレット」を作ったことです。

 海外で観光地やさまざまな施設を訪れた時のことを想像してみてください。そこに自国語の案内やパンフレットなどを見つけたら、あなたはどんな気持ちになるでしょう?

 きっと安心してその観光地や施設の利用を楽しめるのではないでしょうか。では、山形県の観光地や施設にはどの言語の案内やパンフレットがあるでしょうか。あちこちを回って気が付くのは、限られた言語の案内やパンフレットしかないということです。私たちがコリア・デル・リオを訪問して嬉しかったのは、日本語の案内やパンフレットがあったことと、あちこちで「あなたはハポン!私もハポン。私たちは家族よね。お帰りなさい!」の会話。さすがハポンさんが住む町と感動でした。

 意外と知られていないのですが、スペイン語を利用している世界人口は中国語に次いで第2位。英語は第3位なのです。インバウンド(訪日外国人旅行)を県の施策の一つとするのなら、山形県に住む外国の方々が使う言語はもちろん、来県される方々のために言語での案内やパンフレットを準備することが大切ではないかと思うのです。

 私たちの協会では、常長やその業績などを皆さんにお伝えする諸活動のほかにも、スペイン語を少しでも話せるように「スペイン語講座」を開講しています。世界中の多くの人と笑顔でお付き合いできるそんな日が、この新型コロナを克服した時に再び訪れることを期待しているからです。(米沢市在住)

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