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違いを理解、歩み寄る・本間結さん(H19卒) 小国町出身・ブラジル、日系日本語学校教師
(2019年11月2日山形新聞より)


日本語を学ぶアマゾニア病院職員と本間結さん(H19卒)

 南米ブラジルでの生活も気付けば1年半がたちました。アマゾンの熱帯雨林伐採や大規模火災という悲しいニュースが国際問題として取り上げられている中、アマゾン地方では日本人移民90周年の節目の年を迎えました。

 アマゾンの日系社会の歴史は1929年、189人の日本人が入植したのが始まりです。「緑の地獄」とまで呼ばれたアマゾンに根を張り、日系社会を築き上げた人々の苦労は計り知れません。

 さて、私はブラジル北部にある日系病院で日本語を教えています。病院長をはじめ理事会役員は日系人で構成されていますが、職員の大半はブラジル人です。病院で私を見かけると「おはよう」「こんにちは」と積極的に日本語で声を掛けてくれる職員の皆さんから毎日、元気をもらって活動しています。日本文化に興味のある職員も多く、先日は箸の使い方を教えてほしいというリクエストがありました。早速授業で紹介してみると、うまく箸が動かせず悪戦苦闘しながらも、真剣に取り組む様子がとても印象的でした。

 教科書や教材が何もない中でのスタートだったため、着任当初は教材準備や授業内容に頭を悩ませる日々が続きました。思い通りに活動が進まず落ち込むこともありましたが、常に心掛けていたのは「自分の価値観で物事を判断しない」ことです。異文化の中で生活していると、自分にとっての当り前は決して相手にとっての当り前ではないことに、よく気付かされます。これは日本人同士にも言えることでしょう。その違いを理解しようと互いに歩み寄ることが、相互理解へとつながっていくのだと、こちらに来て実感しています。

 帰国が近づいていますが、私が帰国してからも日本語でのあいさつが飛び交い続ける病院になるよう、残されたブラジルでの時間を大切に過ごしていきたいと思います。

※本間結(ほんま・ゆい) 米沢興譲館高(H19卒)、都留文科大文学部比較文化学科、中国の湖南師範大大学院文学部漢語国際教育専攻を卒業。2014年から3年間、一般企業に勤務。18年1月から国際協力機構(JICA)の日系社会青年ボランティアでブラジルに派遣。職種は日系日本語学校教師。小国町出身、30歳。

言葉を通じ相互理解・本間結さん(2019年4月13日山形新聞)
伝えたい日本的表現・ブラジル・本間結さん(2018年11月10日山形新聞)
日系社会理解手助け・本間結さん(2018年6月9日山形新聞)

11月2日山形新聞