藩校興譲館、米沢中学、米沢一高、米沢西高、米沢興譲館高と続く米沢興譲館同窓会公式サイト

ホームページロゴ

言葉を通じ相互理解・本間結さん(H19卒) 小国町出身・ブラジル、日系日本語学校教師
(2019年4月13日山形新聞より)


アマゾニア病院での授業を行う本間結さん(H19卒)

 4月に入り、山形の街並みも桜色に染まり始める頃でしょうか。雨期真っただ中の任地ベレンでは、毎日バケツをひっくり返したような雨が嵐のように過ぎ去っていきます。ベレンでの活動も気づけば1年が過ぎ、折り返しを迎えました。 

 この1年は、ブラジルにおける日系社会の存在の大きさを肌で感じた月日でした。ベレンでは毎年9月に日本週間のお祭りが開催され、日系人だけでなくブラジル人も盆踊りや日本食を楽しみます。毎月行われる市場「フェイラ」では、日本食や日本雑貨が売り出され、多くのブラジル人でにぎわいます。日本から一番遠い国だと思っていたここブラジルで、日本文化や日本食がこれほどまで親しまれていることに、日本人として誇りに思います。

 私はアマゾニア病院と厚生ホームで、職員を対象に日本語を教えています。言葉を学ぶことは、相手を理解することにつながります。私は授業で「痛い」という言葉を取り上げた時のことが忘れられません。1人の看護師が驚いた表情で、「患者さんの中に『痛い、痛い』と叫ぶおばあさんがいる」と言うのです。彼女は「これから日系患者さんの声にもっと耳を傾けたい」と話してくれました。日本語教師として、病院で活動する意義を感じた瞬間でした。

 そして最近では、病院内で自然と「こんにちは」「お元気ですか?」というあいさつが聞こえてくるようになりました。ブラジル人職員の「お大事に」の一言に、驚きながらも笑みを浮かべる日系患者さんの姿を見かけ、言葉の力、気持ちを伝えることの大切さを感じる日々です。

 活動当初は、学校ではなく病院で教えることに戸惑いもありましたが、たくさんの人々に支えられ、充実した活動を行うことができています。私自身も相手の気持ちを理解しようとする姿勢を忘れず、現地の人々に寄り添いながら、残りの任期も活動していきたいと思います。

※本間結(ほんま・ゆい) 米沢興譲館高(H19卒)、都留文科大文学部比較文化学科、中国の湖南師範大大学院文学部漢語国際教育専攻を卒業。2014年から3年間、一般企業に勤務。18年1月から国際協力機構(JICA)の日系社会青年ボランティアでブラジルに派遣。職種は日系日本語学校教師。小国町出身、30歳。

伝えたい日本的表現・ブラジル・本間結さん(2018年11月10日山形新聞)
日系社会理解手助け・本間結さん(2018年6月9日山形新聞)

4月13日山形新聞