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伝えたい日本的表現・本間結さん(H19卒) 小国町出身・ブラジル、日系日本語学校教師
(2018年11月10日山形新聞より)


厚生ホームでの授業風景。中央が本間結さん(H19卒)

 マンゴー並木が続くアマゾン川河口の街ベレン市。ここでの生活は早くも半年がたちました。着任当初は日本では見たことのない南国特有の果物や植物に驚きの連続でしたが、今ではそんな希少な食べ物のとりこになっています。

 特に生のアサイーは、日本で知るイメージと大きく異なり、どろっとした食感で甘味は全くありません。アサイーの本場ベレンでは、果物としてではなく、ご飯のお供として肉や魚のフライにかけて食されており、今までのアサイーの概念が見事に覆されました。陽気で明るいブラジル人の元気の源は、このアサイーにあるのかもしれません。

 私は毎日、病院で病院職員に日本語を教えています。日本人は外国語学習に関して、完璧主義だとよく言われます。私も含め多くの日本人は、「きれいな発音をしないと聞き取ってもらえない」「文法を間違えたら恥ずかしい」と思い、外国語を話すことにためらいを感じます。

 しかしブラジル人は正反対です。授業中はもちろん、病院内ですれ違うたびに、勉強した日本語をすぐに使ってくれます。実際にアマゾニア病院の医師から、職員が元気に日本語であいさつしてくれるようになり、気持ちよく働けるという声を頂き、活動のやりがいを感じています。

 そして半年が過ぎた今、日本語教師が病院にいること、病院内で日本語の授業があることがが、ごく日常の出来事となり始めました。今後どのくらいの職員が日本語を続けてくれるのか、これからが活動の正念場だと考えています。

 言葉を学ぶことは、文化を理解することにもつながります。「洗車雨」「酒涙雨(さいるいう)」「御山洗(おやまあらい)」「夕立」「神立」、皆さんはいくつご存知でしょうか、これらはすべて夏の雨の呼び名です。「雨」と言ってしまえばそれまでですが、季節や降り方で表現にひと工夫を加えるのは、雨の多い日本ならではと言えます。日本語に触れることで、日本の四季の美しさや日本人の相手を敬う心を感じ、多くの職員に日本に興味を持ってもらえればと思います。 

※本間結(ほんま・ゆい) 米沢興譲館高(H19卒)、都留文科大文学部比較文化学科、中国の湖南師範大大学院文学部漢語国際教育専攻を卒業。2014年から3年間、一般企業に勤務。18年1月から国際協力機構(JICA)の日系社会青年ボランティアでブラジルに派遣。職種は日系日本語学校教師。小国町出身、29歳。

日系社会理解手助け・本間結さん(2018年6月9日山形新聞)

11月10日山形新聞