校外学習でぜひ散策・歴史の道土木遺産萬世大路保存会長・梅津幸保さん(75・S39卒)
(2020年5月10日山形新聞より)
歴史の道土木遺産・萬世大路保存会長・梅津幸保さん(75・S39卒)
「廃道マニアにとっては特別な地」
1881(明治14)年に完成した米沢市と福島県をつなぐ「萬世大路(ばんせいたいろ)」。全長48.3キロで、東アジア初の本格的な山岳道路工事だったとされる。初代山形県令三島通庸が開削した栗子隧道をはじめ、廃道となっても多くの人を引きつける魅力がある。歴史の道土木遺産萬世大路保存会長の梅津幸保さん(75・S39卒)=同市万世町梓山=に、今後の活用法などを聞いた。
―地域振興に向け、萬世大路が持つ可能性をどうお考えでしょうか。
「昨年、福島県で開かれた『とうほく街道会議』の席上、講師を務めた廃道探検家の平沼義之氏が『萬世大路は廃道の聖地だ』と話していました。明治時代に整備されたトンネルと昭和に造られたトンネルが並んでいる場所は異例で、廃道マニアにとっては特別な地と評されています。歴史、観光資源に活用できるのではないでしょうか」
―保存会が発足した経緯と現在の活動をお聞かせください。
「そもそも万世小が移転する際、敷地内にある明治天皇が県内巡幸したときに小休された地に植えられた『萬歳の松』を守るため、保存会を立ち上げました。その後、萬世大路が歴史の道百選、土木遺産などにも選定されたことから、総称するために現在の体制に改めました。具体的な活動としては、栗子隧道散策や自然教室を主催しています」
―今年2月には文化財保存を推進するため県の「未来に伝える山形の宝」に登録されました。これを弾みに、新たに始めようとしている事業は何でしょうか。
「まずは保存会のホームページを開設して、全国に魅力を発信していきたいと思っています。並行して地元の青少年に対するアピールも大事です。その一環として昨年、市内小中学校向けに萬世大路の成り立ちなどを解説した副読本を作りました。多くの子どもたちに校外学習として萬世大路を散策してほしいと考えています」
―今後、保存活動を続けていく上で課題となる点を伺います。
「安全に散策できるように手入れをしていくことが求められます。一方で、廃道となってしまった現在でも一帯は国の土地となっています。山道の草刈りや倒木の撤去程度は保存会の判断でできますが、重機の投入が必要なほど大規模に損傷してしまった場合は対応できません。さらに、廃道の魅力は『手付かず』が魅力との意見もあります。過度に手を入れてしまうと持ち味を損なう恐れもあり、整備、維持に関しては安全性とバランスが求められます」
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