わたしの料理・肴は安くぜいたくに・ラズウェル細木さん(S50卒)
カニかま玉 カニの卵白焼き
(2017年4月7日朝日新聞より)
ラズウェル細木さん(S50卒)。漫画と資料に囲まれた東京都内の自宅で=合田昌弘撮影
ビールをゴッゴッと流し飲み、ぐはーっ。
「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)で連載中の「酒のほそ道」は、一杯飲む場面が毎回登場する飲べえの漫画です。ラズウェル細木さん(60・S50卒)が1994年から描き続ける短編漫画で、単行本は40巻を数えます。
主人公の岩間宗達は30代のサラリーマン。大事件やドラマチックな人間模様が展開されるわけではありません。描かれるのは、仕事帰りの一杯の解放感や、酒の肴が運ばれてきたときの「おいしそう!」という高揚感。
そして「酔っ払って店に老眼鏡を忘れた」「店で同僚を待つ間に、黒板に書かれた『おすすめ』が次々に品切れになりやきもきした」といった「酒場あるある」の数々です。
単行本18巻の「贅沢カニ気分」の回では、宗達が自分で料理します。家飲みの肴として作ったのはカニの代わりにカニかまぼこを入れた「カニかま玉」と、カニ缶の中では手頃なベニズワイガニのほぐし身の缶詰を使った「カニの卵白焼き」。特売のカニかまとカニ缶でささっと作り、「安上がりだけどぜいたく」な気分を味わう様子が調理の手順とともに描かれます。
主人公と同じくラズウェルさんもお酒は大好き。店で食べたものや、料理番組やグルメ雑誌で見た料理をヒントに、晩酌の肴は自分で作ります。「つまみは手早く、経済的に。手間のかかるものだとすぐに食べられませんから。早く飲みたいですからね」。
「カニかま玉」「カニの卵白焼き」どちらも、酒の種類は何でも会う「万能型」だそうです。
「カニの卵白焼き」はカニ缶を汁ごと卵白と混ぜ合わせ、水分を飛ばすように混ぜながら焼くのがポイント。卵白2個分に塩と白コショウ少々を加えて混ぜます。そこに短く切ったエノキダケ10グラムと、ベニズワイガニの缶詰1缶(65グラム)、水溶き片栗粉適量を加えて混ぜます。フライパンにゴマ油を中火で熱し、卵白を流し入れ、混ぜながら焼きます。丸く形を整えて皿に盛り、真ん中をへこませて卵黄1個を乗せたらできあがりです。(構成・沼田千賀子)
カニかま玉(下)とカニの卵白焼き
- 材料と作り方
- <カニかま玉=1〜2人前>卵3個、カニかまぼこ40グラム、ゆでタケノコ、長ネギ、シイタケ各10グラム、ショウガ少々、ゴマ油適量、水3分の2カップ、中華スープのもと小さじ2弱、片栗粉小さじ2
- カニかまをほぐす。ゆでタケノコ、長ネギ、シイタケは細切りに、ショウガはせん切りにする。
- 卵を溶きほぐし、塩と白コショウ少々を加えて混ぜる。卵液に1を加えて混ぜる。
- フライパンにゴマ油を中火で熱し、具を加えた卵液を流し入れてさっとかき混ぜる。弱火にして卵液をさらに混ぜ、オムレツ状にまとめて皿に盛る。
- 空いたフライパンに水と中華スープのもとを入れて火にかけ、ひと煮立ちさせる。いったん火を止め片栗粉を同量の水で溶いて加えて混ぜる。 再度火をつけ、とろみがついたらカニかま玉にかける。
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