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笑顔を教室に広げる・坂野雄大さん(26・H17卒)パプアニューギニア・理数科教師    
(2013年6月1日山形新聞)

坂野雄大さん
「Hama-Maths Book」を使っている生徒と一緒に写真に写る坂野雄大さん(H17卒)

 「分かる楽しさを味わってほしい」そう思って活動を続けてきたこの2年間。赴任当初は活動以前に、離れにある、ぽっとん式便所や常にネズミが徘徊するわが家に四苦八苦。もちろん水道はなく、飲み水もシャワーも雨水を使う・・・、まずはそんな生活に慣れることに必死でした。それでも少しずつ頼るべき人を見つけ、生徒指導に思い悩みながらも充実した時間を送ることができました。
 さて活動の方はというと、2年という限られた期間の中でしたが、赴任校での通常授業に加え、受け持ちの生徒の基礎計算能力向上のために導入した100マス計算が、教育省が進めているプロジェクトの目にとまり、全国的に紹介する機会をいただけたこと。さらに同期のPNG(パプアニューギニア)理数科教師隊員で数学教材「Hama-Maths Book(ハママスブック)」を出版できたことにとても満足しています。
 特に任期終了が迫った今、力を入れているのがこのハママスブックの普及活動です。現地語で「ハッピー」を意味するHamamas(ハママス)と英語で「数学」を意味するMaths(マス)を組み合わせて名付けられたこの本。「日本人による、PNGのためのPNG教育にあったテキストブック」ということで大変好評をいただいています。


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 残りの任期は一つでも多くの学校にこのテキストを届けることが目標です。そのためには最近は赴任高で使用してもらうのはもちろんのこと、人脈を頼りに地域の校長会議に出席させていただいたり、日本でいう教育委員会の方々とラジオ局の力を借り、教育関係者や保護者向けのラジオ番組に出演させていただき、普及活動を行っています。指導方法に悩む現地教員や生徒の未来のためにも、少しでも多くの学校に行き渡ること、そしてこの本が一人でも多くの人を「ハママス」にしてくれることを願ってやみません。
 最後にPNGはまだまだ発展途中。確かに乗り越えなければいけない問題はたくさんありますが、勉強を分かろうと必死に取り組む姿は日本の学生と何一つ変わりません。そんなこの国の将来をになう生徒の人生に関われたこと、心から誇りに思います。そして私自身、懸命に頑張る教え子に負けないよう、日本に帰国後も一度しかない人生、後悔のないように駆け抜けたいと思います。
 私の活動の記録をブログで公開しています。海外生活、国際ボランティアに興味のある人はぜひ一度、ご覧ください。
 「たった一度の人生だから in パプアニューギニア」

■坂野雄大(さかの・ゆうだい) 米沢興譲館高から山形大理学部に進学。一昨年春、東北大大学院を修了後、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に参加。派遣先のパプアニューギニアでは理数科教師として赴任校、教育省と協力し、生徒の基礎計算力向上に奮闘している。米沢市出身、26歳。

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6月1日山形新聞