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芦沢小舎学びの場に・斜平山の魅力伝え続けた鹿俣浩さん死去
(2020年8月7日山形新聞より)


芦沢小舎で開いた初めての学習会であいさつする在りし日の鹿俣浩さん。
=2019.05.18

■家族や仲間 遺志を継ぎ活動展開

 米沢市の元小中学校理科教員、鹿俣浩さん(S55卒)が先月14日、59歳でなくなった。昨年5月、市街地西側の斜平山の麓に、周辺の自然や歴史、文化を学ぶ「斜平山フィールドミュージアム芦沢小舎」を開設したばかり。長く肺を患っていたが、亡くなる直前まで活動に意欲を燃やしており、今春には斜平山の魅力を伝える冊子を完成させていた。残された家族や仲間は、、それぞれの形で遺志を継ぎ、活動をつないでいこうと決意している。

 同市出身の鹿俣さんは教職の傍ら、地元の動植物研究をライフワークとしていた。活動の中心は斜平山。市街地に近く多様な生物が住み、歴史や文化的にも豊富な素材があることから、この地を学びの場にしたいという思いを若い頃から持っていた。こうした中で2年前に早期退職し、昨春、同市李山に芦沢小舎をオープンさせた。

 昨年の芦沢小舎では、座学や子ども向けの観察会を十数回開催。講師陣には地元の研究者のほか、現山形大学長の玉手英利教授も名を連ねた。酸素吸入を必要としていた鹿俣さんだが毎回仲間と準備をし、自らも学んだ。今春には外出も少なくなったものの、パソコンで冊子作りに没頭した。本人も家族も「まだまだやれる」と思っていた矢先、容態が急変した。

 芦沢小舎の今後について具体的な言葉は残さなかったが「夫、父がやりたかったことを実現したい」というのは家族共通の思いだ。妻で小学校教諭の由佳さん(57)は「残したものを足掛かりに続けたい」と語る。東京で働く長男卓磨さん(26)、父母と同じ小学校教諭の次男顕典さん(24)、長女で大学生の紗那さん(20)の3人の子どもたちも、できる範囲で活動を手伝っていくつもりだ。


鹿俣浩さんが仲間とともに制作した冊子「なでら山の自然」

 芦沢小舎の運営を共に続けてきた小学校教諭の雨田祐二さん(48)は「親分を失ったよう」と肩を落とす。それでも「学びたい人が集まる場所として、少しずつでも仲間を増やして活動を続けたい」と力を込める。今年は新型コロナウイルスの影響で活動開始が遅くなったが、今月から11月まで、鹿俣さんが企画したスケジュールに沿い運営する予定だ。「なでら山の自然」と題し完成したA4判20ページの冊子は2千部を印刷しており、学習用としての配布や販売も計画している。芦沢小舎のスケジュールなどはホームページに随時掲載する予定。

斜平山の自然、じっくりと・米沢・観察拠点オープン(2019年5月22日山形新聞)