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童謡が誕生して100年・生涯の伴侶歌い継ぐ・松倉とし子さん(S48卒)
(2018年4月5日山形新聞より)



 「唄を忘れたかなりやは 後ろの山に棄てましょか」。西条八十の「かなりや」は1918(大正7)年に日本で初めて生まれた童謡です。今年2018年は「かなりや」が掲載された童謡誌「赤い鳥」の創刊から数えて満100年目。「童謡100年」を迎えます。

 童謡運動を牽引した詩人西条八十、野口雨情、北原白秋がが子どもたちのために詩を書き、当時の一流の作曲家、中山晋平、本居長世、山田耕筰らが曲をつけて珠玉の童謡が次々に誕生した大正時代。明治と昭和に挟まれたわずか15年の短い期間でしたが文化の面では大輪の花が咲き、それ以来現在まで100年の間に童謡も百花繚乱となりました。私たちの国は世界に誇る「童謡王国」になりました。歴史に名を刻んだ詩人たちが、子どものために子どもの心を子どもの言葉で歌をつくる運動を起こしたことに世界中が驚きました。

 美しき芸術的な童謡は世代を超えて歌い継がれ大人たちの心をも魅了しました。物心ついた時からずっと心に宿り、例えば仕事に疲れた時、人間関係に疲弊した時、幼い頃に歌った童謡だけはどこへも逃げずにいつもそばに寄り添って私たちを孤独から救ってくれます。童謡は私たちにとってかけがえのない相棒で、そして間違いなく生涯の伴侶になってくれています。

 日本童謡協会長の職を長く務められた作曲家中田喜直さんと全国のコンサートを17年重ねましたが、どの会場でも決まって口にされたのが「よい童謡を聞いて歌って育った子どもたちは必ず幸せな人生を送れますよ」。願いを込めて中田先生と一緒にスタートさせた「童謡の日コンサートinYAMAGATA」は「私たちの街・山形に童謡のこころを広げたい」が合言葉です。今年25回目。7月29日に「童謡誕生100年記念」としてスケールを広げて開催します。「ちいさい秋見つけた」も「めだかの学校」も「夕焼け小焼け」も身近にありすぎて、その優しさや温かさが「当たり前」になり、日常に紛れてしまうことが多い現実。「童謡100年」の今年は、多くの方々がかわいい童謡たちに改めて耳を傾け心にとめる1年になることを心から願います。

 今年もたくさんのコンサートをお引き受けしていますが、4月18日には「103回十一屋スイートコンサート・童謡100年に寄せて・・・中田喜直の夕べ」で、2千曲以上ある同氏の作品から選りすぐりの30余曲をエピソードを交えてお届けします。5月には東京、6月には愛媛でも。幼かった日々の友との触れ合いや懐かしい故郷を思い起こす童謡はどなたの心にも確かに生きています。今年も多くの方々とご一緒に楽しい時間を過ごして、その感動を歌い継いでいきたいと心から思います。最後に大きな声で!「童謡さん100歳おめでとう!これからも永遠に私たちのそばに」。(声楽家・山形市)

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