ありあり浮かぶ鷹山の人物像・米沢の研究会側近の記録解読本出版
古文書の魅力も伝える
(2021年4月12日山形新聞より)
米沢古文書研究会が出版した「*ぎょう楚篇」の解読書。
左ページに原文、右ページには解読文と現代語訳を掲載している。
鷹山の倹約を記した部分では「一汁一菜」などの文字が原文中に分かりやすく確認できる。
米沢古文書研究会(高橋敬一会長)は、米沢藩9代藩主上杉鷹山の日常の記録を側近がまとめた「*ぎょう楚篇」を解読した「側近が見た上杉鷹山の素顔『*ぎょう楚篇』を読む」を出版した。原文と解読文、現代語訳を見開きで対照させることで、古文書解読の魅力を伝えながら、鷹山の人となりをわかりやすく紹介している。
*ぎょう楚篇を執筆したのは側近として知られる莅戸善政。鷹山の嫡子の顕孝に献上するために、鷹山にまつわる56のエピソードをまとめている。「*ぎょう楚」は優れた人などの意。同時代に多くの写本が作られて全国に広まり、名君としての鷹山の評価を高めることにも一役買ったとされる。
同会は1966年設立。現在は約30人の会員が米沢に残る古文書の輪読などを行っている。*ぎょう楚篇は2014年5月から17年4月に取り上げており、同会の岡崎勝利前副会長(S38卒)平賀陽子副会長が研究の成果をまとめた。松坂世紀記念財団(米沢市)と荘内銀行ふるさと創造基金の助成金を活用し、A5判264ページで300部を作製した。
*ぎょう楚篇では、鷹山の家臣への寛大な態度や家族への優しさのほか、優柔不断さや、ちゃめっ気のある一面も記されている。高橋会長(70)は「*ぎょう楚篇自体は比較的知られているが、現代語訳がなく、有名な割に読まれてこなかった」と説明。「米沢には古文書が多く残っているが、それには残してくれた努力があった。それを読めるようにする努力も必要だ」と強調している。
希望者には1冊1500円で販売する。問合せは高橋会長0238(21)2322。詳細は同会ホームページでも発信している。
*ぎょうは尭に羽。