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街の安全走って守る・パトラン山形代表・佐々木謙介さん(H3卒)
(2020年12月4日山形新聞より)


パトラン山形代表・佐々木謙介さん(H3卒)

 「あいさつしながら毎日走っている赤い人、いったい何者だべ!?」。きっと私は高畠町でこんな風に思われていることでしょう(笑)。私は毎日赤いTシャツを着て「パトラン」をしています。

 パトランとは「パトロールランニング」の略で、子どもや女性、お年寄りが安心して暮らせる地域社会の実現を目指し、街を走って見守る防犯活動です。福岡県宗像市のNPO法人「改革プロジェクト」が2013年から始めました。パトランは誰でも気軽に参加することができ、地域の安全だけでなく健康づくりや仲間づくりと一石三鳥の効果があり、今では全国38都道府県に広がりを見せています。

 私がパトランに出会ったのは5年前、会員制交流サイト(SNS)で活動を知り、「走ることが誰かの役に立つならば」と、すぐ全国組織のパトランJAPANに入会しました。最初の1年半は1人での活動でしたが、友人やマラソン大会で出会った方がパトランの趣旨に賛同し、徐々にメンバーが増えました。県内でさらなる普及を図るため、18年7月15日に東北初、全国で10番目となるチーム「パトラン山形」を結成しました。

 パトラン山形は県内全域を活動範囲とし、10〜60代のメンバー約70人がそれぞれの居住地や勤務地で活動しています。米沢、南陽、山形、天童、鶴岡の5市では、複数人で行う合同パトランを定期的に開催し、防犯のみならず、反射材たすきの配布といった交通安全啓発や、道端のごみ拾いなど環境美化にも力を入れ、地域の実情に合わせた活動を行っています。

 警察や行政との協働も広がってきています、米沢の取り組みを例にとると、米沢警察署との協力態勢は3年目を迎え、毎週行われる合同パトランには多くの若手警察官が参加してくれています。走りながら拾ったごみの処分が課題でしたが、本年度から米沢市役所が翌日回収することで解決しました。そのほかにも不法投棄や道路損壊など異常を見つけた際は関係機関と連携を図っています。県置賜総合支庁と協力して始めた反射材たすきの配布活動は庄内地方にも波及し、現在は鶴岡市で特に積極的に展開しています。

 ここでパトランの存在意義について考えてみます。全国における刑法犯認知件数は02年をピークに下がり続け、19年に戦後最少を記録しました。しかしながら近年、防犯団体の数は減少に転じ、各団体とも高齢化や担い手不足という課題を抱えています。これに対しパトランは年々メンバーが増加し、40代以下が実に8割を占めています今までの地域による防犯活動が衰退期を迎える中、ゆるいつながりで新たな担い手を増やすパトランは、人口減少社会において持続可能な防犯スタイルとなるのではないでしょうか。

 昔と比べ街中でごみを見かけることが増え、子どもへの声掛け事案も後を絶ちません。ジョギングを楽しむ人が増えましたが、コロナ禍によりマラソン大会が中止となり、モチベーションが上がらないランナーも多いことでしょう。このような方にこそ、パトランで地域を見守る目になってほしいと思います。

 私はパトランで地域の中に居場所を作り、かけがえのない仲間と出会い、一緒に地域貢献する喜びを知りました。パトランの可能性は無限です。「走ることが誰かの笑顔につながる」。あなたの参加をお待ちしています。patorunyamagata@gmail.com

走って守って地域に貢献・米沢を中心に活動「パトラン山形」代表・佐々木謙介さん(2019年9月22日山形新聞)