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地道な助け合い外交・伊藤雄平さん(H20卒)
(2020年9月26日読売新聞より)

 「こんなに汚い水を飲んでいるのか」。青年海外協力隊員だった伊藤雄平さん(30・H20卒)は2015年7月、西アフリカのベナンに着任して驚いた。人々は樋の下に、コケの生えた甕を置き、濁った雨水を飲んでいた。

 ある日、自宅の水道が壊れて雨水を飲んだら腹を下した。その時バティちゃんという10歳ぐらいの女の子が10リットル以上の水が入った容器を頭に載せて隣の集落から運んできてくれた。手押し式の井戸の水だという。だが、伊藤さんが帰国する前の17年6月、バティちゃんは亡くなった。こうした劣悪な環境で体調を崩したとみられる。

 「支援するつもりだったのに、助けられた」。恩返しをと考えて応募したのが、外務省が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて始めた途上国へのボランティア派遣。伊藤さんは年内にも世界保健機関(WHO)のフィジー事務所に派遣され、太平洋の島国の水に関する衛生環境改善にあたる。感染防止で手を洗おうにも、きれいな水がない国は多い。「2人目のバティちゃんを生んではいけない」

 外務省の計画では、ほかにも社会経済、看護、環境などの専門家がアフリカやアジアに派遣される。中国が医療物資を送る「マスク外交」が注目されるが、支援対象国に影響力を拡大する目的だとの見方も強い。日本が進める地道な助け合い外交こそ、世界から信頼を得ることにつながるのではないか。

入院の児童と折り紙・ベナン・伊藤雄平さん(2016年11月12日山形新聞)
※伝統村で健康に貢献・ベナン・伊藤雄平さん
(2016年1月16日山形新聞)