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地域資源を活用し介護・住み慣れた地で生活継続・「密着型」役割考えよう
(2020年8月26日山形新聞より)


米沢市地域密着型サービス事業者・管理者連絡協議会会長:兵庫等さん(S42卒)

 地域密着型サービスとは、認知症や要介護の高齢者が、介護度が重くなっても、できる限り住み慣れた地域で生活できるようにするために創設された介護保険サービスの一つです。地域の事情に合ったサービスにするために市町村が指定、監督を行います。

 事業所の種類や規模もまちまちで、代表的なものには、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能型居住介護、認知症対応または定員18人以下の通所介護(デイサービス)などがあります。現在、米沢市内には地域密着型サービス事業所は40カ所ほどありますが、いずれも特別養護老人ホームなどと違って規模が小さく、経営面において弱さがあることは否めません。

 2000年に産声を上げた介護保険制度は、わが国の超高齢化社会を支える大きな柱となって今日に至っていますが、当初の想定以上に認知症や要介護の高齢者が増加。当然、保険財政も逼迫しており、消費税を含む保険料を引き上げる一方、3年ごとの制度見直しによる介護報酬の圧縮が響き、われわれ介護事業者にとっては経営の先の見通しが立ちにくい状況にあります。

 地域密着型サービス事業者は、特に人材の確保と定着が難しく、将来を危惧する事業者が多くなっています。事業運営に関する情報交換の必要性を訴える事業者も少なくありませんでした。それらを受け、昨年から市内の地域密着型サービス事業所の組織化に向けて声掛けし、今年6月に本会を設立しました。同種の会の設立は県内では初めてです。

 初年度の計画として 1..会員相互の交流と情報交換 2..新型コロナウイルス感染拡大防止に関する活動 3.行政との意見交換 4.当会と関連する機関・団体との意見交換 5.新型コロナウイルス感染に関わる支援についての説明会の開催 ―などを予定しています。各事業所にとって新型コロナの影響は大きく、正式設立前の5月には、市長に対して7項目の要望書を提出しました。

 このたびの本会設立を機に地域密着型サービスの在り方について考えるところがあります。地域密着型サービスは地域の資源を最大限活用し、まさに地域ぐるみでその人を見守り、生活の継続を図っていくことを目指しています。

 私は、認知症で介護度が重い一人暮らしの方の生活のお手伝いについて、数例経験しています。民生委員はもちろん、隣の住人や医療機関、ドラッグストア、食堂、コンビニ、警察といった社会資源に働きかけ、適時の訪問介護をしながら、その人らしい自宅での生活を送れるよう支援したのです。そこに関わった管理者、計画作成担当者を含めすべての介護スタッフにとって大きな満足感とやりがいを感じたものでした。

 ともすれば、即施設入所に走りがちな風潮ですが、地域密着型サービスの果たす役割を、行政をはじめ、事業者、利用者(家族)ともども理解し、「人づくり」と「まちづくり」について考えてみてはどうでしょうか。

 われわれ地域密着型サービス事業者・管理者連絡協議会は、利用者にとって最適なサービスを提供すること、地域にとって最適な事業所であることを目指しつつ、今後行政に対しても当地域における介護の課題解決に向けて積極的に活動していく所存です。(米沢市在住)