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挑戦と創造の米沢品質・米沢ブランド戦略会議会長・柴田正孝さん(S52卒)
(2020年2月5日山形新聞より)


米沢ブランド戦略会議会長・柴田正孝さん(S52卒)

 交流、関係人口拡大に力 ■「なせば成る」の精神胸に

 少子高齢化が進展する中、地域社会の環境や仕組みが大きく変わりつつあります。社会、経済が縮小均衡を余儀なくされ、地域活力が減衰する恐れがあります。こうした状況を受け米沢市は2017年11月に産学官の委員で構成する「米沢ブランド戦略会議」を立ち上げました。昨年10月31日には初代の米沢品質AWARDとして5件が選ばれ、未来に向けた米沢ブランド戦略がスタートしました。

 まずは「どんなブランド戦略にするか」。一番の肝となるコンセプトやスローガンづくりに活躍したのは若手を中心にしたブランディング・プロジェクトチームです。市の担当者も交え、議論を重ねました。

 専門家から提案、アドバイスを頂き、市民各界、各層からのヒアリング結果も誠実に受け止め、たどり着いたコンセプトが「鷹山公のDNA『挑戦と創造』の力で、次の米沢をつくる」でした。スローガンは「挑戦と創造のあかし―米沢品質」となりました。新たに決まったコンセプトとスローガンをかみしめると、勇気と活力と未来への希望が湧いてくるようです。

 うれしかったのは、このコンセプトの決まった理由は若い層からの圧倒的な指示だった点です。米沢には鷹山公のDNAが脈々と生き続けている証左です。

 この事業の大事な点は単なる認証制度ではなく、市民運動という点です。コンセプトを具現化する動きを「米沢品質向上」と位置付け、コンセプトに賛同し、米沢品質向上運動に参加する企業、団体、個人から「TEAM NEXT YONEZAWA」(TNY)に登録してもらいました。現在、153チームが登録しています。4、5年で倍増させたい考えです。

 このTNYの中から「挑戦と創造」を究め、特に秀でた米沢品質を有する商品やサービスに対する顕彰制度が、冒頭に触れた「米沢品質アワード」です。初代アワードには28件(27チーム)の申請がありました。最終審査会では予定時間を大幅に超える熱い議論が交わされました。いずれも甲乙つけ難いというのが、審査委員共通の思いでした。

 米沢ブランド戦略は認証が最終ゴールではなく「挑戦と創造のあかし―米沢品質」を掲げて努力し続ける人たちの「運動体」であるということです。この運動を産品やサービス、観光、文化、行政など、あらゆる領域に広げ、浸透させていくことが目的です。それにより米沢全体の付加価値を高め、交流人口や関係人口の拡大につなげていくことも見据えています。

 これから20、30年後の米沢はどんな姿になっているのでしょうか。人口減少という社会環境の変化は米沢だけが免れるものではありません。しかし、いまから200年以上も前に名君がこの土地に染み込ませた「為せば成る」のスピリットを燈々無尽につないでいけば、米沢の未来は決して暗くないと思います。

 米沢ブランド戦略はまだ緒に就いたばかり。これからいかに継続、発展させていくか、真価が問われることになります。そしてこれは現代に生きる私たちへの過去からの贈り物であるとともに、未来からの手紙でもあるような気がします。