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リーダー複数、強い集団・小嶋総本店社長・小嶋健市郎さん(39・H11卒)
(2020年1月24日山形新聞より)


小嶋総本店社長・小嶋健市郎さん(39・H11卒)

 ―業界の現状は。

 「短期的に見れば地方の酒造会社は緩やかながら成長してきた。長い目で見ると、人口が減っており、若い世代のアルコール離れも進んでいる。国内での消費量は減る恐れがある。海外マーケットは広がっているものの、国内市場の縮小は加速していくので、楽観できない。昨年、輸出分は全体の一割を超えた。今後、比率を上げていく必要がある。どの産業にも言えるが同じことを続けていれば、縮小するだけだと思う。変化のスピードは速い。対応するため大きく変わっていかねばならない」

 ―求める人材とは。社員一人一人はどのような努力を続けるべきか。

 「自分で考えて、物事をスタートできる人を求めたい。『リーダーシップを発揮できる人』だ。周囲を引っ張る人が社内にどれだけいるかで、物事を成し遂げる速さが決まる。一人のリーダーと大勢の従順なスタッフより、何人ものリーダーがいる集団の方が強い。また、能力が高い人に給与でこたえる努力は必要だが、能力と役職は分けて考えている。役職や立場を得るためには、能力だけでなく周囲から信頼を得られる人間性が必要になる」

 ―仕事上で影響を受けた人は。

 「一人目は前の会社(ユニ・チャーム)に勤めていた際、チーフマーケティングオフィサー(当時)だった岡部高明さんだ。強烈なリーダーシップを持つ方で、深い知識と事業家としての胆力を持ち合わせていた。自分が理想とする「リーダーシップ像』の一つのモデル的存在だ。経営判断する際は論理的に積み上げたデータがあっても、最後はトップが覚悟を決めて答えを出さなければならない。直感的な部分が必要なことを学んだ。二人目は致知出版社社長の藤尾秀昭さんだ。数年前に経営者向けの研修会で、指導してもらった。経営者は論理や数字だけを重んじることなく、よりよい人間性も必要なことに気付かされた。知識の習得と内面的な成長は車の両輪のようなもので、バランスを損なうと何かを失うことを痛感した。以前までは仕事を通じて精神的な苦しさを感じることも多かったが、心の置き所が少しわかるようになった。周囲への接し方も、何を大切にすればいいか、分かるようになった。当然まだまだとは思うが」

■小嶋健市郎(こじま・けんいちろう) 慶応大総合政策学部を卒業後。2004年にユニ・チャームに入社。米国の貿易会社に勤務し、11年から小嶋総本店に入った。専務を経て15年10月に社長就任。米沢市出身。

■小嶋総本店 上杉家が米沢に入部する4年前の1597年(慶長2)年に創業した。米沢の地域性を尊重した酒造りを目指しており、主力銘柄「東光」のほか、特約店限定の「洌」がある。社員数29年。資本金2千万円。米沢市大町2丁目に酒造りの歴史などを紹介する「東光の酒蔵」もある。本社所在地は米沢市本町2の2の3。