「助け合う」温かい国・東ティモール・吉田福太郎さん(23・H26卒)
(2019年6月1日山形新聞より)
体育授業で生徒に立ち幅跳びを説明する吉田福太郎さん(H26卒)
東ティモールのエルメラ県で体育教員として活動しています。中学1年〜高校2年の全12クラスを担当しています。
エルメラ県は風光明媚な山あいに位置するコーヒーの産地です。私が暮らす村は停電が頻発し、水も汚れています。当然シャワーや洗濯機などはなく、少々過酷な環境ではありますが、ティモール人の知恵やたくましさを見習い、貴重な経験だとプラスに考えて生活しています。ティモール人には「助け合い」の精神が根付いており、子どもからお年寄りまで皆が助け合いながら暮らしています。
ある日、中学1年生の生徒たちに「アボー(祖父母の意味)の家に行くから一緒に来て」と誘われました。何のことやらと山道を30分ほど歩いていくと一軒家にたどり着き、そこに老婦人が一人で暮らしていました。家に着くや否や、生徒たちはせっせと家中を掃除し、たまった食器を洗い始めます。ある生徒は老夫人の話し相手になります。1時間ほど働き、全てを片付け、私たちが引き揚げると、老婦人は感謝と寂しさからか、涙を流していました。このように人の温かさが日常にあふれる国、それが東ティモールなのです。この温かさを感じると、彼らの力になりたいと活動に一層力が入ります。
現在授業では、体力測定を実施しています。生徒の運動能力を把握して、授業で足りない力を伸ばすためです、おしゃべり好きでよく笑う生徒たちは、とにかくエネルギッシュです。元気が良すぎるあまり、なかなか統率できません。なぜなら、これまでの体育授業はスポーツの歴史やルールを教科書で学ぶことが中心だったからです。そのため実技の授業に慣れていない彼らは、はしゃいでしまうのです。何とかそのエネルギーを一つにして、真剣さと楽しさを組み合わせたメリハリのある授業を目指しています。今後は体育を通して、生徒たちに身体を動かすことの楽しさや大切さ、スポーツの魅力を伝えたいです。
■吉田福太郎(よしだ・ふくたろう) 米沢興譲館高を卒業後、白鴎大学教育学部発達科学科でスポーツ健康を専攻。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊として、今年1月から東ティモールに派遣された。職種は体育。米沢市出身、23歳。