ふるさと舌鼓・滋養と慈愛たっぷり・鯉の甘煮
(2019年4月17日山形新聞より)
鯉の甘煮(山形・米沢市)
山形県米沢市には「米沢の味ABC」がある。AはAppleで地元の舘山りんご、BはBeefで米沢牛、そしてCがCarpの米沢鯉だ。
米沢藩中興の祖・上杉鷹山が1802年、コイを取り寄せ、城のお堀で育てたのが始まりだ。山国の米沢ではたんぱく質不足によるむくみなどに悩む領民が多く、滋養食にするためだった。雪国の清く豊富な水で育てたコイは、身の締まりがウリだ。
1849年創業の「鯉の宮坂」で、「鯉の甘煮」を味わった。コイは地下水をくみ上げた池で3週間ほど泳がせ、泥臭さを取る。1匹を3、4切れの輪切りにし、秘伝のタレで約3時間じっくり煮込んだ甘煮は泥臭さがなく、味わい深い。
「江戸時代は貴重だった砂糖を使って、甘く作るのが好まれた」と宮坂宏社長(S52卒)。今は時代に合わせて糖分は抑えめにしているそうだ。骨の多さからコイを敬遠する人もいるが、同社は「滋養たっぷり、鷹山公の慈愛を召し上がれ」とPRしている。