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生徒の声活動の励み・安部慎也さんさん(H22卒) パプアニューギニア、小学校教育
(2018年10月6日山形新聞より)


グラウンドで5年生の体育の授業について振り返りを行う安部慎也さん(H22卒)

 生徒数600人、教員数18人。アロタウ小学校の一員として活動を始め、約2カ月がたちました。私が活動しているアロタウはミルンペイ州の州都。人口はわずか2万人、湾に面した小さな港町です。市街地があまり広くないため、放課後に街で買い物をしていると「アフタヌーン!ミスターアベ!」 と生徒がよく声を掛けてくれます。現地語が800以上あると言われるパプアニューギニアですが、幸いアロタウでは英語がよく話され、学校でも授業は英語で行っています。

 パプアニューギニアの小学校は、3〜8年(日本の小学校の小学3年〜中学2年)の子どもたちが通います。今学期、私は5〜7年生の計9クラスで体育の授業を担当することになりました。しかし学校には体育用具は何もありません。グラウンドは、辛うじて野球の内野ほどの広さがあるくらい。山の中腹に位置するためか少し傾斜しています。体育館のような雨の日に屋内で運動できる場所はなく、天気が悪い時は体育が他の教科の授業に変更になってしまうのが現状です。

 着任して初めての授業は、日本から持ってきたボールを使って、みんなで楽しめるドッジボールをしました。しかし、パプアニューギニアの子どもたちはルールを知りません。ぎこちない英語と、日本の100円ショップで買ったホワイトボードを使いながらルールを説明し、最後は全員が笑顔で授業を終えることができました。

 授業終了のあいさつが終わった後、何人かの生徒が寄ってきて「ミスター!体育を教えてくれてありがとう!」と握手をしてくれました。現地での生活になかなかなれない中ですが、生徒にそう言ってもらえることが励みになり、その度に「もっともっと良い授業をつくろう」という気持ちがみなぎってきます。

 活動が始まったばかりで、やるべきことはニーズの把握です。体育の授業にとどまらず、パプアニューギニアの教育のために、日本人の先生だからできることは何なのか。同僚の先生や州の教育局と情報を共有しながら、じっくりと見極めていきます。

 ■安部慎也(あべ・しんや) 米沢興譲館高から東京学芸大に進学。卒業後は米沢三中で社会科教諭として3年間勤務し、部活動は野球部を担当した。国際協力機構(JICA)青年海外協力隊の現地教員特別参加制度を利用して参加し、2018年7月からパプアニューギニアに派遣された。職種は小学校教育。米沢市出身。

10月6日山形新聞