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農民詩人・感性耕す喜び・星寛治さん(S29卒) (2018年1月4日朝日新聞山形版より)


有機栽培をする田んぼの前で語る星寛治さん(S29卒)=高畠町元和田

 ■土と生きて 言葉を刻む

 高畠町の農民詩人、星寛治さん(82・S29卒)は、詩を詠むことで「ここからよそに飛び越えていく」ことができると感じている

 かもめが 山のかなたを翔んだ というたら あなたはわらうだろうか(「かもめ」、詩集『滅びない土』1975年)

 閉鎖社会の村で、山の向こうには、広々とした世界がきっとあるはず、と考えた。「思いは飛翔し、また村に帰還する。詩作はこの繰り返しで、よそから眺めて、村の良さも分かるのだと思う」

 米沢西高校(現・米沢興譲館高校)卒業後、大学に進学したかったが、長男として農家を継いだ。最初は「変わり者」扱いされながら、半世紀近く有機農業を続ける中で、自然と共存する農村の暮らしは文化的営みだと気付く。

 「農業には、耕す喜び、あめつちの恵みを収穫する喜び、圧倒的にうまいものを消費者と分かち合う喜びがある。文化的な目覚めですね。感性が磨かれていくんです」

 詩作は、その農作業と同義語だと表現する。農業をするしぐさ、、土に切り込む姿勢が、「詩を刻む」ことだ。書き殴っては破り捨て、出版した詩集はこれまでに3冊。耕すからこそ書けると確信する。今も90アールの水田と50アールのリンゴ畑を持っており、この冬、自分史を原稿用紙600枚にまとめあげた。これから、詩集を合冊して出版する計画にとりかかるといい、ペンを握り続ける。(後略)
他人に役立つ人生誓う 農民詩人・星寛治さん(2017年7月21日毎日新聞)