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理想より自分らしさ・高橋航太朗さん(32・H15卒) サモア・PCインストラクター
(2016年9月3日山形新聞より)


担当したクラスの卒業生に囲まれながら笑顔で写る高橋航太朗さん(手前右から3人目・H15卒)

 Malo!(マロ=こんにちは)―。山形を離れて早くも1年8カ月が過ぎようとしています。南国特有ののんびりとした四季のない環境に身を置かれていると、時の流れすら忘れてしまいそうになりますが、私のサモア生活も残り4カ月ほどとなりました。
 私は高等学校の教員として6年半、日本の教壇に立ち、現在はサモアの中高等学校でコンピューターの授業を担当しています。着任当初は日本とサモアの違いばかりに目がいって、異文化に溶け込むことの難しさを感じたものです。
 知識が定着しないのは「私の語学力不足や学ばなくても生活が可能な環境や文化が原因ではないか」「ならば私にできることは何か」「何のために自分はここに来たのか」・・・、などと考えました。向上心や知的好奇心が希薄な生徒たちと、それを引き出すことができない自分自身に、幾度となく歯がゆさやいら立ちを覚えたものでした。

 

 そんな活動の中で光が見えたのは、持ち込まれたパソコンを直すことや一緒にお酒を飲むことで、知らぬ間に友情や信頼が芽生え人の輪が広がっていることに気が付いたときです。言語や文化が違っても日本にいたころと同じ方法で分かりあえたことで、「開発途上国」や「異文化」といった先入観が少しずつ薄れて行きました。
 自分が作り上げた「理想の協力隊員像」を追い、責任館や使命感が空回りしていた活動初期と比べ、「自分らしいやり方」を心掛けるようになった最近の方が活動は充実しています。
 学ぶ理由は人それぞれで、答えを教えることはできません。それでも、いろんな先生、いろんな大人を見て生徒たちは生き方を選択していきます。異国の人と時間や空間を共有する経験や、異国での生活経験者が身近にいる環境が与える影響は大きいに違いありません。
 日本やサモアの生徒たちが世界に目を向けること、情報科学やコンピューターに興味を持つこと、将来、その学びを社会に還元してくれることを願いながら、私との出会いがその一助になることを信じて、悔いのない活動を心掛けたいと思います。

 

■高橋航太朗(たかはし・こうたろう) 米沢興譲館高から北海道情報大、東北電子専門学校に進み、米沢市内でシステムエンジニアとして勤務、2008年から新庄東高教諭となり、現職のまま国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に参加し、今年1月にサモアに派遣された。職種はPCインストラクター。米沢市出身、32歳。

伝わった情熱と技術・サモア・高橋航太朗さん(2015年10月10日山形新聞)
頼られる喜びが支え・サモア・高橋航太朗さん(2015年5月16日山形新聞)

9月3日山形新聞