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もっと気軽に着物入門・米沢繊維協議会長・近藤哲夫さん(S55卒)
(2016年3月14日山形新聞より)


米沢繊維協議会長・近藤哲夫さん(S55卒)

着やすい「二部式」提案■街の活性化の一助に
 年末年始のテレビは面白かった。紅白歌合戦の初出場会見でのロックバンド「ゲスの極み乙女。」の若々しい着物姿、椎名林檎さんは今回もステージであでやかな着物を着ていた。NHKの連続テレビ小説「あさが来た」の新次郎さまの様になった大人の着こなし、着物教室のCMに登場したのはSMAPのキムタク。やっぱりかっこいい。
 昨年より米沢繊維協議会は「よねおりすと」プロジェクトを始めました。「よねおりすと」とは米織を持っている人。米織を好きな人。米織に携わっている人の総称で、米織のファンを増やすことが狙いです。第1弾として20代の女性をターゲットに、米織の洋服地で二部式着物を製作しました。値段が高い、お手入れが面倒、1人で着られないなどの着物離れの原因を解消し、着たことのない方々に着物の入り口を紹介する取り組みです。
 洋服地を使うことで価格とお手入れの課題をクリアし、着物を上下に分け二部式にすることで、着装も簡単にすることを目指しています。二部式着物は前から存在していましたが、帯を着装しなかったり、裾が短かったりで、一見して着物とは別物でした。今回考案したものは、帯は付帯ですが、着姿は通常の着物と変わりません。
 昨年9月から11月までの土日と祝日、「きものフォトウオークラリー」と称したイベントを米沢市の米織会館を起点に行い、70人以上の方に二部式着物を利用いただきました。市内の女子高生やお友達同士、中には観光で米沢に来られた山形市内の母娘さんや遠く大阪、福岡からの方もいらっしゃいました。
 年末年始にはJR米沢駅構内の観光案内所「アスク」の職員の皆さんに着用してもらったり、市内の金融機関に展示PRをしていただいたりしました。アンケートの結果、初めて着物を着た方が多く、「楽しかった」「また着てみたい」という意見が多く寄せられました。「もっと季節に合った生地で作ってほしい」との要望もありました。
 予想以上の反響を受け、協議会内ではアンケート結果を基に今後、生地選定を再考し、もっと簡単な着方や仕立て方などの商品改良を加え、4月から新たな展開をしようと検討中です。
 二部式着物のレンタルのほか販売も視野に入れ、各工房の作品のレンタルも検討します。パーティー、食事会、入学・卒業式などいろんな生活シーンで米織を身近に楽しんでいただきたいと考えています。観光物産協会をはじめ、温泉、飲食関係といった異業種の方々とも一緒に取り組み、米沢の観光やイベントの一つのネタとして使っていくことを考えたいと思います。
 米沢織は米沢藩9代藩主鷹山公が残した殖産振興策の一つであり、250年もの間、連綿と続く産業です。私たち米織に携わる者としてこのまちの歴史と文化、産業を後世に残していくことは大切であり、使命でもあります。人口減少や地方の地盤沈下が叫ばれる中、「よねおりすと」プロジェクトを一つのきっかけとし、今まで以上に地元の方々とつながり、まちの活性化の一助となるように行動していきたいものです。
(米沢市在住)