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「王国」基本守ってこそ・小関敏彦さん(S49卒)   (2013年6月21日朝日新聞山形版より)

道ひとすじ
今年開かれた全国新酒鑑評会の様子=広島県

 「基本がなくて応用はできない」。これは私が高校・大学時代、剣道部で学んだ教訓である。
 高校の時は、過去の先輩方に申し訳ないほど弱い学年だった。それが2年生の秋以降、徹底して基本練習に取り組んだ結果、翌春には見違えるほど強いチームに成長した。暇つぶしで入った大学の剣道部も、気の合う友人たちと目標を持って練習することでだんだん熱中するようになり、ついには全国大会にも出場した。基本を身につけ、仲間と競い合うことで、驚くほどの成果を生むものなのだ。
 さて、前回のコラムでも書いた全国新酒鑑評会の結果が5月22日に発表され、山形は金賞14場、入賞11場の結果だった。金賞数でいえば、福島26場、兵庫17場、秋田・新潟15場に次ぐ5位。山形はここ14年、金賞数で必ず1〜5位につけていて、今年も「日本酒王国」の伝統を守った形だ。
 さらに近県をみると、宮城が12場で6位、青森が9場で9位、岩手が8場で10位で、東北6県と新潟をあわせた7県がすべて10位以内に入る素晴らしい結果だった。
 この7県は2002年から、東北全体の酒造りのレベル向上をめざして毎年3月に山形で研究会を開き、力量を競っている。その効果は抜群で、以降この7県は鑑評会でも上位に入ることが増えた。
  実は鑑評会の審査にも流行があり、1993年から10年間ほどは香り高いものが良しとされ、現在は甘口の酒が金賞受賞の主流だ。流行に乗れば一時的には良い結果を得られるが、基準が変わるとすぐ成績が落ちてしまう。その点、山形は香りも甘さも流行を追わず、「飲んでおいしい酒造り」を目指してきた。その結果が長年の好成績と、東北全体のレベル向上につながっているのだ。
 あくまで酒の「基本」は香味のバランス。基本がもっとも大事なのは、剣道も酒も同じである。

朝日新聞デジタル山形版・酒に交われば

6月21日朝日新聞