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ブランド化の強化必要 前自動車産業ディレクター・今野勝洋氏(S35卒)  (2013年5月22日山形新聞)

今野勝洋さん
ものづくり力のブランド化に向けた取り組みの必要性を説く
前自動車産業ディレクターの今野勝洋さん(S35卒)=県庁

 自動車分野での受注拡大を図るため、トヨタ自動車OBが自動車産業ディレクターとして県内企業の取り組みを支援している。今年3月で退任した今野勝洋氏(71・S35卒)=長井市出身=は県の委嘱を受け、創設時から7年にわたり県内企業のレベルアップを支えてきた。21日に吉村美栄子知事から感謝状が贈られた今野氏はインタビューに答え、トヨタによる東北の拠点化を踏まえ、「受注拡大にはものづくり力のブランド化に向けた取り組みが必要だ」と語った。以下は一問一答。

「積極的に売り込む姿勢も」
  ―県内の自動車産業の現状は。
 「関連するすべての業種がそろっていることが山形の強みだ。技術力も高いレベルにあり、県内企業はもっと自信を持っていい。一方でまだ実力が浸透していないことが弱み。トヨタ東日本が誕生し、受注拡大に向けては、ものづくり力のブランド化が必要だ。やり残したことであり他のディレクターに託したい。展示商談会だけでなく、山形の実力を知ってもらう仕組みづくりに取り組んでほしい。『山形はすごい』ということを知ってもらうことがブランド力アップにつながる。企業には積極的に売り込む姿勢が求められる」
 ―ディレクターの活動が見えないとの声もあるが、7年の実績は。
 「われわれはあくまで裏方であり、行政や企業の活動に対する指導・助言が役割。表立った活動ではないが、(トヨタ系部品メーカー)の東海理化(愛知県)と県を繋ぐことで、同社の技術開発拠点の誘致に結び付けることができた。同県で開催する東北6県による展示商談会を軌道に乗せることができたことも印象深い。自動車の分解セミナーや次世代自動車研究会も人材育成に貢献できたのではないか」
 ―部品の現地調達への期待とともに、受注確保に向けた競争も激化している。
 「勝ち抜くためにはQCD(品質・コスト・納期)をベースに改善を図り、地道に技術力を磨きあげることに尽きる。それが長期的にみれば、国際競争力を高めることにもつながる。また岩手・宮城の企業と比べ、物流面にハンディがある。例えば、1台のトラックが数社を回って製品を運ぶ共同運輸も一つの手ではないか」

今野 勝洋氏(こんの・かつひろ) 1964(昭和39)年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。トヨタ第2車両実験部長などを経て、97年にトヨタ系の部品メーカー中央発條に移り、取締役、専務、常任監査役、顧問を歴任。2006年から今年3月まで県自動車産業ディレクターを務めた。愛知県豊田市在住。

 自動車産業ディレクター:トヨタが国内生産の増強を進める中、県が2006年に創設。トヨタや関連企業とのマッチング支援のほか、技術提案・開発研究へのアドバイスなどを通じ、自動車分野で県内産業の活性化をサポートしている。現在はいずれもトヨタOBの熊谷邦夫(山形市出身)、水野隆文、石川正顕の各氏が活動する。

5月22日山形新聞