CO2削減で温泉街に独自色 旅館で「クレジット制度」認証取得を担当・遠藤直人さん(H6卒)
(2011年3月9日朝日新聞山形版)
二酸化炭素(CO2)の削減分を、他企業と売り買いできる「国内クレジット制度」。温泉排湯を熱源としたヒートポンプで、小野川温泉(米沢市)の老舗旅館「鈴の宿 登府屋旅館」が県内で2件目となる認証を取得した。その導入を一手に担当してきた。
灯油の値上がりに悩まされていた1年半前、環境省の補助金のメニューを知った。ヒートポンプとあるが、何のことかさっぱりわからない。環境省に問い合わせ、インターネットでも調べた。メーカーの社長の話を聞いて、ようやく納得できた。
ボイラーで年間29トン消費していた灯油は使わなくなり、年間58トンのCO2を削減できる。電気代が年間54万円かかるが、約9年で回収できる見込みという。「中小企業でも環境に貢献できることを数字で表した。新潟では温泉を利用した発電実験も行われています」。ボイラー音がうるさくて使っていなかった部屋が使えるようになるというおまけもあった。
旅館や商店で働く若手の仲間たちと、温泉街の振興にも熱心に取り組んでいる。
「小野川温泉はバブルに取り残されたことが良かった。小規模な旅館が多いが、高齢者や若いペアなど客層を絞り、旅館ごとの独自色を出していけば、必ず生き残れる」
遠藤直人(えんどう・なおと) H6卒。1976年米沢市生まれ。福島大学経済学部卒。山形市の経営コンサルタント会社で5年間働いた後、オーストラリアを働きながら一周。帰国後、実家の旅館を手伝う。