描き続けた郷土の風景・創作活動集大成の個展
水彩画家加藤今朝雄さん(S20卒)(2010年8月25日山形新聞掲載記事)
絵画人生の集大成と位置付ける13回目の個展を開いている加藤今朝雄さん(S20卒)=米沢市
水彩画家の加藤今朝雄さん(83・S20卒)=米沢市遠山町=の個展「郷土(ふるさと)の風景を描く」が、同市のトヨタカローラ米沢店内ふれあいギャラリー金池で開かれている。30年近い創作活動の集大成と位置付け、地元の自然美をとらえた風景画を出展。加藤さんは「自由に鑑賞し、それぞれの印象を大事にしてほしい」と話している。
加藤さんは小学生のころから筆を執り始め、独学で腕を磨いた。教職に就いてからは美術教育の振興に尽力。約30年前から本格的に創作に取り組み、1987(昭62)年3月に市内の万世小学校を退職後は、自宅隣のアトリエで風景画を描き続けた。
日本水彩画展で9度の入選歴があり、県総合美術展(県美展)など県内外で数え切れないほどの賞を受けた。現在、市内の水彩画スクールで指導。米沢の水彩画界の第一人者として知られる。「春には春の、秋には秋の“空気”がある。それを表現できることが絵画の魅力」と語る。
93年に同ギャラリーで開いた作品展を皮切りに、個展開催は12回を数えた。13回目となる今回の個展は、加藤さんの指導を受けたサークルの会員6人が企画。最初に個展を開いた同ギャラリーを会場に選び、置賜地方の自然美が印象的な25点を展示した。
「絵に残したい光景を自由に描いた」と言い、どの作品も「民謡のような素朴な情景を表現できた」と加藤さん。今回を集大成と位置付けたものの、周囲には「米沢の文化振興のため、まだ描いてくれないと困る」という意見も多い。加藤さんは「もう欲も得もない」と謙遜(けんそん)しつつ「周囲の助けで個展を開けた。本当にありがたい」とうれしそうに話した。
合わせて秀作80点を収録した画集200部も製作。会場に用意し、希望者に販売している。個展は29日まで。