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妻への感謝 詩で表現 米沢出身の近野兼史さん(S17卒)出版
事業興し社会貢献 心を込めつづる(2010年7月20日山形新聞掲載記事)

近野兼史さん
妻への感謝の気持ちをつづった本を出版した近野兼史さん(S17卒)=仙台市

 米沢市出身で仙台市在住の近野兼史さん(85・S17卒)が60年以上連れ添った妻英子さん(86)への感謝の言葉をつづった本を出版した。財団法人を設立し置賜一円の高校生に奨学金を給付するなど、社会貢献を続けている近野さん。「妻が支えてくれたからこそ、いまの自分がある」と話し、知人の勧めもあって一冊にまとめた。

 近野さんは1957(昭和32)年、食品会社を設立。置賜一円で約10店舗のスーパーを経営した。71年ごろ、現イオンの名誉会長相談役を務める岡田卓也さんが訪ねてきて合併することになり、73年、ジャスコ取締役に就任。92年には自分を育ててくれた郷土に恩返ししたいと財団法人近野教育振興会を設立し、置賜の高校生を対象に返還不要の奨学金給付を続けてきた。これまでに奨学金を受けた学生は200人に上る。
 「こうした社会貢献ができるのも、いまの自分があるのも女房のおかげ」と近野さん。感謝の気持ちを伝えたいと、今年に入って英子さんとの思い出を振り返りながらたくさんの詩を創作したところ、知人の目に留まり、出版することになった。タイトルは「母ちゃん ありがとう」。厳選した55作品を掲載した。
 お気に入りの作品は「二度とない人生」。リンゴの木箱を食卓代わりに使いながら、「二度とない人生だから大切に生きようよ」と英子さんが話した夜のことを振り返った。
 「明るい返事」はいつも笑顔で返事してくれたことをつづった作品。借金をしてショッピングビルやホテルを建てるなどさまざまな事業に取り組んだ近野さんに「あなたについてゆくだけでも大変なのよ」と話した時の英子さんの笑顔を思い浮かべながら書き上げた。
 英子さんは2年前から体調を崩し、仙台市内の老人ホームで生活している。同じ施設で介護しながら毎日を過ごす近野さんは「家内には大変な苦労を掛けた。へたな文章かもしれないが、精いっぱい心を込めて感謝をつづった」と話している。
 本に対する問い合わせは創栄出版 022(267)5935.

7月20日山形新聞