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第7回 人間の尊厳信じ教育―九里学園高・校是は「礼と譲」―(2014年4月16日毎日新聞山形版)

 米沢市には、第九代藩主上杉鷹山(1751〜1822年)の教育精神を大切にしている学校が、県立米沢興譲館高の他にもある。私立九里学園高だ。上杉謙信(1530〜1578年)をまつる同市上杉神社の近くにある桜色の校舎は、国の登録有形文化財に指定されている。校是は「礼と譲」。 


九里茂三・九里学園元校長

 礼には「人間の尊厳を信じその高貴さにふさわしく行為しよう」、譲には「自らの持てる力を発揮して愛する世の人々に捧げよう」。校是に付く文章はこう説明している。
 九里広志校長(67)の父、九里茂三さん(93)は1961年に校長に就任してからの2年間、教師たちと討論を繰り返して校是を作った。出来上がった三つのスローガンが「礼、譲、協同和楽」だった。
 生徒たちには分かりにくいため、独自の文章を付けた。
 創立80周年の1981年には、自ら「礼譲」と書いた全校生徒分の色紙を一人一人に贈った。その思いは現校長にも引き継がれている。
 3月3日の卒業式で、九里校長は次のように式辞を述べた。
  「ウクライナはいま、ロシアの軍事介入があるかどうかで騒然としている。なぜ人間は歴史を学ばないのだろう。君たちが世界の人々の間に入って、これからの世界を幸せな社会にしてほしい」


九里学園の卒業式で卒業証書を授与する九里広志校長
=米沢市門東町

 卒業式で目を引いたのは、校長が壇の下から、壇上の生徒一人一人に卒業証書を手渡し握手する姿だ。。卒業証書の全生徒の名前も、校長がすべて手書きした。「卒業式は生徒が主役だから」と話す九里校長。「先生は生徒を一人前にして後押ししてやるのが役目」と付け加えた。
 また、「この学校には、成績が優秀な子もそうでない子も、健康な子も障害を持った子もいる。学校でいろんな人と触れあい成長して社会に出てほしい」と語る。そして、鷹山とその師・細井平洲(1728〜1801年)の教えを踏まえ、米沢藩の上層部だけでなく、藩全体を教育して一つにまとめ上げた鷹山の事業を紹介し、「学校教育も同じ」と強調する。学園の合言葉は「WE ARE FAMILY」だ。


九里とみ・九里学園初代校長

 ユニークな授業もある。生徒が3、4人で1日の学校の接客を行う。電話の対応から来客の案内、お茶出し、郵便物の受け取りまで何でもこなす。目的は社会との接点を持つためだ。
 創立者・九里とみ(1872〜1957年)は1901年、「九里裁縫女学校」を創立した。開校の辞で、鷹山の遺訓である「国の基は家」を引用し、国の基となる家を支える女性の教育の必要性を強調した。男尊女卑の明治時代に、女性が一人の人間として尊厳を持って生きていくための教育を目指した。その精神は、現在の九里学園高の教師、生徒の中に生きている。

【佐藤良一・S52卒】
第8回 心一つに改革進め―農民から指導層まで教育―につづく

4月16日毎日新聞山形版