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実験の魅力広めたい・棚村慧史さん(26・H21卒) エチオピア・理科教育
(2016年10月22日山形新聞より)


授業研究会で、薬局で購入できるマニキュアを使った実験を紹介する棚村慧史さん(H21卒)

 私が国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊としてエチオピアの首都アディスアベバに来て1年が過ぎようとしています。 滝のような激しい雨が毎日のように降り、アフリカとは思えないほど冷え込む3ヶ月間の雨期が明け、エチオピアは新年を迎えました。エチオピア独自の暦で9月からは2009年になりました。1年たってもまだまだ驚くことばかりです。
 そんなエチオピアでの活動ですが、配属先の小学校以外でも、首都にいるJICAボランティアと共に活動する機会も増えました。エチオピアの教育現場では、実験よりも理論が重視される傾向があり、教師の実験技術は高いとは言い難いのが現状です。
 さらに教材が手に入りにくいこともあり、生徒自身が実験を行う機会はほとんどありません。
 われわれは、首都のJICAボランティアを中心として教師の実験技術を高め、生徒が実験に触れる機会を増やすために、教員研修、授業研究会、そしてサイエンスショーを企画してきました。
 特に力を入れてきたのは、現地教師の要望から始まり、首都の15小学校において実施した「授業研究会」です。この活動ではJICAボランティアが教壇に立ち、生徒実験を導入した授業を現地の教師たちに体験してもらいました。安価で身近な材料を用いた実験方法を提案し、教師のモチベーションを高めることもできました。
 参加した同僚教師が「生徒実験をさせたい」「もっと授業を見せてほしい」と言ってくれたのはとてもうれしい収穫でした。今後はそうした現地の教師にも教壇に立ってもらって、エチオピア人同士で授業研究会を開催し、各学校にも生徒実験が広まっていくようにすることが目標です。
 悔しいことや残念なこともありましたが、それを助けてくれて力になってくれたのもエチオピア人でした。自分の成長も実感できた1年目でした。
 2年目は毎月の授業研究会に加え、好評だったサイエンスショーや教員研修の回数も増やし、より多くのエチオピア人に理科の魅力を伝える機会をつくっていきたいです。

生徒の笑みが励みに・エチオピア・棚村慧史さん(2016年3月5日山形新聞)

■棚村慧史(たなむら・さとし) 米沢興譲館高から東京学芸大に進み、同大大学院を修了。専門は生物(生化学)で、新規エイズウィルス(HIV)阻害剤にかかわる基礎研究を行った。JICAの青年海外協力隊として昨年10月、エチオピアの首都アディスアベバに派遣された。職種は理科教育。米沢市出身、25歳。2度目の寄稿。

3月5日山形新聞