藩校興譲館、米沢中学、米沢一高、米沢西高、米沢興譲館高と続く米沢興譲館同窓会公式サイト

ホームページロゴ

 

「自燃」してチャレンジ・山形座瀧波社長・南浩史さん(S57卒)
(2021年8月20日山形新聞より)


山形座 瀧波社長・南浩史さん(57・S57卒)

 −業界の現状と力を入れている取り組みは

 「新型コロナウイルス感染拡大により、旅館・ホテル業界は全国的に大変苦しんでいる。当館は政府の観光支援事業『Go To トラベル』の波に乗らせていただいた。その後、今年1月〜7月は厳しい状況だったが、乗り越えた。決算は8月締めだが、8月は好調に転じており、今期も黒字を確保できる見通しだ。またコロナ期間を含め4年間で70泊前後している人が2組、5泊以上している人も200組以上いる。お客様の求める空間を提供できている」

 −求める人材は。

 「次の時代、単に1泊2食を出すような経営を追い求めてはいない。お客様の目的は▽感動したい▽体験したい▽癒されたい▽心を静めたい▽ライフスタイルの変更を体験したい−に変わってきており、これを実現したい。そのためには、チャレンジする人材が必要だ。燃えることができる人、燃えることができない人がいるが、人間は自ら燃える『自燃』、他の人からたきつけられて燃える『他燃』に分けられる。『自燃』であってほしい。仕事と真剣に向き合うことでやるべきことが見えてくる」

 −その力を身に付けるために必要なことは。

 「広い世界、現状より高みを知らなくては、縮こまった発想しかできなくなる。7〜8月にはミシュランの星付きシェフとコラボし、料理を提供した。料理現場のスタッフも大きな刺激となった。さらに料理人は、ミシュランの星付き和食店で修業を行う。接客面でも一流の講師を招き、研修している。変な作法よりも『もうひと声』『もうひと手間』『もうひとユーモア』を提供することを心掛けている」

 −仕事上、最も影響を受けた人物は。

 「2006、07年にトヨタ自動車に出向した際、トヨタの強さを実感し、接した多くの人たちに影響を受けた。特に技監や顧問を務めた林南八さんは偉大だった。端的に言えば、トヨタ流現場主義の考え方である『現地現物』。また、自社のことだけでなく、自動車業界のリーダーとして業界全般を考える視野の広さ、経営理念も素晴らしかった。こうした“トヨタ式”を自社にも取り込み、経営改善につなげた」

 ■南浩史氏(みなみ・ひろし) 東京大卒。旧建設省(現国土交通省)地方局課長、長崎県西海市の大島造船所社長を経て2014年、民事再生法に基づく再生計画が認可された後の瀧波社長に就任。客単価の見直しや約5億円かけた改装などで、18年に黒字転換させた。大島造船所時代に2年間、トヨタ自動車に出向。南陽市出身。

 ■山形座 瀧波 赤湯温泉に1915(大正4)年創業の旅館。2017年「いきかえりの宿瀧波」から現社名に。山形座には「山形を愛する山形県人による、山形のためのショールームになりたい」との思いを込める。客室数19室。社員数30人。資本金4500万円。所在地は南陽市赤湯3005。


 私と新聞:人のつながり生み出す

 山形新聞と経済紙を愛読している南社長。勤務日はさっと目を通すだけだが、休日にじっくり深読みするのが習慣となっている。全国紙を含め取材を受ける機会は少なくなく、「ここまで調べるのか」と新聞記者の取材力の高さと幅広さに驚くことがあるという。

 地元紙の役割については「新聞以外の多媒体と異なり深掘りされている。歴史を記録していくだけではなく地域をより良い方向に導いてほしい」と期待する。その鍵は記者の幅広い人脈。「激動の世の中、コネクションが最も大事。人と人とのつながりは世界を広げることがある。新聞を通じて人同士のつながりを生み出し『山形連合軍』で地域全体が元気になるきっかけとなってほしい」と強調する。