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アートの種 日常に求め・上杉博物館企画展「後藤克芳の世界」(S31卒)
(2018年6月16日山形新聞より)


後藤克芳(1936〜2000・S31卒)

 米沢市出身で、山形新聞の特派員として渡米し制作活動を行ったポップアート作家・後藤克芳(1936〜2000・S31卒)の作品を紹介する企画展「後藤克芳の世界 アートがアートでなくなる瞬間!?」が、同市の上杉博物館で開かれている。身近なものをモチーフにした作品が並び、日常の中に発見があふれていることに気付かせてくれる。

 武蔵野美術学校(元武蔵野美大)に入学した後藤は、後に米国での反芸術的な美術運動「ネオ・ダダ」に影響を受けて前衛芸術グループを結成する赤瀬川源平や篠原有司男らと親交を深めた。卒業後は古里で絵画教室を開き、篠原らを招いた前衛的な展覧会を開催するなど米沢の美術界に大きな影響を与えた。1964(昭和39)年に米ニューヨークに渡り、さまざまな職種を経験しながら制作活動に打ち込んだ。90年から7年にわたって本紙(山形新聞)に「ニューヨークだより」を寄稿している。


スパナをチョコレートに仕立てた遊び心あふれる作品などが並ぶ企画展=米沢市上杉博物館

 後藤が渡米した当時はアンディ・ウォホールらが活躍したポップアートの全盛期。その影響を受け、油彩画から立体作品へと作風を変えた。後藤の作品の特徴は古里・口田沢で親しんだ木を素材に用いること。木でありながらモチーフの物の質感を忠実に再現している。

 企画展では初期の油彩画からデザインの仕事、立体作品など約60点を展示。思わず食べたくなるようなチョコレートに化したスパナ、バラバラになったカエルがくっついた接着剤の箱など遊び心あふれる作品が目を引く。

 牛乳瓶越しにのぞいた飼い猫の顔や、新聞の切れ端が付いた靴底をデフォルメした作品は、何気ない日常からアートを見いだす柔軟な後藤の視点を象徴する。発想の種となった資料なども並び、「アートがアートでなくなる一歩手前」(本人の言葉)を目指して創作を続けた作家の根幹に触れることができる。

 入館料は410円で、展示は7月22日まで。

6月16日山形新聞