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県産材と一緒に暮らす・デザイナー・須藤修さん(山形・H18卒)普及活動
(2018年5月4日山形新聞より)


街と森とを結びつけたいと話す須藤修さん(H18卒)=山形市

 暮らしの中に県産木材を普及させようと、家具の修復などを手掛けるデザイナーの須藤修さん(30・H18卒)=山形市、東北芸術工科大学非常勤講師=は、森と街をつなぐ活動に取り組んでいる。家具作りはもちろん、店舗をデザインする仕事でも県産材の活動を提案し、森を散策するツアーも企画。地元の森や木材の魅力を伝え、街の生活と結び付けたいと考えている。

 家具に、店舗に活用 森の散策も企画

 取り組みの一つが県内の森を舞台にツアーや商品製作などを企画する「ヤマモリプロジェクト」。一級建築士の井上貴詞さん(山形市)とユニットLCS(ルクス)を立ち上げ2012年から展開している。

 LCSはリンク(つなぐ)サイクル(循環する)サバイブ(生き残る)の頭文字に由来する。ヤマモリには「山と森を守る」という意味を込めた。

 森林率7割を超える本県だが「山に人の手が入らなくなり、森林環境の悪化が進んでいる」と指摘する。取り組みを通じて県産材の魅力を伝え、森と人の関係を改めて築き上げたいと思い描いている。

 県のみどり環境公募事業の採択も受け、山形市の千歳山、米沢市の斜平山(なでらやま)、西川町の本道寺地区などこれまで13か所でプロジェクトイベントを開催した。講師に現地の識者を迎え、地域と森の関わりを学び、木材を使ったワークショップも行う。毎回30人ほどが参加しており、昨年は休止したが、14回目を今秋予定している。

 日常の仕事の中でも、木材の魅力を引き出すことを意識し、昨年11月にリニューアルしたJR山形駅ビル「エスパル山形」では、座面が広くゆったりとした金山杉製のベンチを手掛けた。県産材の雑貨などを扱う「尚美堂」の店舗デザインも担当。2階入り口の金山杉をあしらった壁面の実現にも携わった。

 東北芸工大の卒業前後から家具の修理に取り組んでいる須藤さん。古い物をそのまま修復するのではなく、なぜ使われなくなったのかを見直し、新たなデザインでよみがえらせる。県産材に思いを寄せるようになったのも、こうした仕事がきっかけだった。

 県産材でテーブルを作りたいとの依頼を受け木材市場を探したが、広葉樹の製材がなかった。林業者や製材業者を訪ね歩き、多くがパルプやチップ材として出荷され、用材として使われていないことを知った。

 「需要を感じているのに、消費者と結びついていなかった」と須藤さん。伐採が追いつかず、木材としての適齢期を過ぎてしまう樹木もあり「(地元の山や県産木材の)現状を見直し、街の生活とつなぐことで循環させたい」と、プロジェクトの先を見据えている。