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ぐるっと東北 母校をたずねる 県立米沢興譲館高校-2
東京で知った故郷の風景 漫画家・ますむらひろしさん(S46卒)
(2017年6月9日毎日新聞東北版より)


漫画家・ますむらひろしさん=1970年度(S46)卒

 「銀河鉄道の夜」など宮沢賢治の作品を、主人公を猫に置き換えて描いたり、郷里の米沢の地名や風景を登場させた作品群で知られる漫画家、ますむらひろしさん(64・S46卒)=1970年度卒。授業をさぼってビートルズを聴き、「あしたのジョー」を読んで仲間と騒いだ高校時代を懐かしむ一方で、卒業後、上京して初めて、賢治が描いた東北の風景を理解したと語る。

【成田有佳】

 藩校の流れがある学校で、当時は高げた履いて行けるわけですよ。(県南部の)置賜地方全域から生徒が来て、下宿しているやつの部屋がたまり場になっていた。「ラジオでビートルズの新曲を録音した」と聞くと俺は学校を早引きして、そいつの下宿先に大家さんにばれないように窓から入った。「ゲット・バック」「ジョンとヨーコのバラード」もそこで聴いた。

 その下宿に住む友達は、ちゃんと授業に出ているんだけどね。俺は、単位取るためには何回授業に出ればいいか計算していた。

 中学時代は、生徒が「変だ」「おかしい」と言うのを許さず、ビートルズは「不良の音楽」だという先生がいた。けど、高校では何か押っつけて(押し付けて)嫌な思いをさせる先生はいなかった。「えっ、高校ってこんなに自由なんだ」と思った。

 ちょうど週刊少年マガジンで、「あしたのジョー」が連載中。学校から一番近い駅の売店には、本屋より1日早くマガジンが並んだ。放課後、同級生がその駅まで走ってマガジンを読んで、急いで教室に戻って「力石、死ぬぞ」って。クラスの女の子は「何それ? 力石って誰?」って驚いていたけどね。毎夏、米沢で同級生と集まると、それぞれが今どんな仕事をしていても、その時に戻って、そんなとりとめのない話ができる。

 そのころ、マガジンの表紙を担当していたイラストレーターの横尾忠則さんは、若い人にとっては一種、ヒーロー。「ああいう仕事して飯が食えたら最高だな」と思った。先生には最後まで「夜学の大学もある」と言われたけど、大学行って会社に入ってという人間ではないと思っていたから、卒業したらデザインの学校に行こうと。

 高校卒業のころ、実家が事業を清算しなければいけなくなり、18年住んだ家がなくなった。自分の望郷の強さは、今は実家がない、というところにもあるのだと思う。

 小学校、中学校の国語の教科書で読んだ宮沢賢治は、「暗い」という印象で面白くなかった。高校卒業後に東京で暮らすようになると、風景に山がない。米沢では街の西側に斜平山。愛宕山では夏に祭りがあって、そういうふうに生活の中に山があった。東北で生きた賢治の文章は、風景を持っていた。上京後に古本屋で買って読んだ時には、そういうのが理解できる年齢になっていたんですね。

 漫画を描く時、自分にとってのリアルは、18年住んだ米沢。自分が経験したところからしか描けない、自分の体験からしか「ほんとう」がない、ということは、賢治に教えられた。

 ますむらひろし  本名・増村博。1952年米沢市生まれ。高校卒業後、上京しデザイン学校に進学。73年週刊少年ジャンプに漫画「霧にむせぶ夜」を投稿し、手塚治虫賞準入選。擬人化した猫を主人公にした「銀河鉄道の夜」は85年、映画化され大ヒット。空想の世界ヨネザアドで猫のヒデヨシが活躍する「アタゴオル・シリーズ」でも知られる。7月8日〜8月20日には米沢市で「ますむらひろしの世界展」が開かれる。


各教室に掲げられている校歌の一部

教室に「世のために尽くさん」

 「人みなの命をあがめ わが力わが誠 世のために尽くさん」  

 今も各教室に掲示されている、校歌3番の歌詞だ。作詞は「泣いた赤おに」「りゅうの目のなみだ」などで知られる童話作家で卒業生の浜田広介(ひろすけ)=旧制米沢中(現米沢興譲館高)1913年度卒。

 56年、創立70周年を迎えるにあたり、当時の千喜良英之助校長が「日本のアンデルセン」と言われる浜田に校歌の作詞を依頼した。「人間のまことと思えるそのことを自分に向かって行う」との思いを歌詞に込めたと、浜田は後年書き残している。「興譲」を解釈したものだ。

 浜田広介記念館(同県高畠町)には、作詞の際の原稿が展示されている。「大巓(だいてん)の吾妻を見れば」という歌詞の右側に、「アイエンオ アウアオイエア…」と母音が添えてあった。島津正道館長に聞くと、五七調のリズムと母音の響きを大切にするため書き込んだものだという。

 74年度卒のOBでもある島津館長は「浜田広介が描いた、優しさ、思いやり、悲しさ、切なさ、という人間らしい感情を、現代の子どもたちの心に届けたい」と話している。

【佐藤良一記者・S52卒】


 ■卒業生「私の思い出」募集

 県立米沢興譲館高校卒業生の皆さんの「私の思い出」を募集します。300字程度で学校生活や恩師、友人との思い出、またその後の人生に与えた影響などをお書きください。卒業年度、氏名、生年月日、職業、電話番号、あればメールアドレスを明記の上、〒100-8051、毎日新聞地方部「母校」係(住所不要)へ。メールの場合はtohoku@mainichi.co.jpへ。いただいた「思い出」は紙面や、毎日新聞ニュースサイトで紹介することがあります。


第1回 人生の責任学んだ・米沢前田慶次の会会長・梅津幸保さん

第3回 信念貫く生き方育んだ 秋田大教授・三宅良美さん

宮沢賢治と東北・漫画家・ますむらひろしさん(2016年12月4日朝日新聞)
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