藩校興譲館、米沢中学、米沢一高、米沢西高、米沢興譲館高と続く米沢興譲館同窓会公式サイト

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ぐるっと東北 母校をたずねる 県立米沢興譲館高校-1
人生の責任学んだ・米沢前田慶次の会会長・梅津幸保さん=1963年度卒
(2017年6月2日毎日新聞東北版より)


米沢前田慶次の会会長・梅津幸保さん=1963年度卒

 母校をたずねるは今月から、県立米沢興譲館高校(米沢市笹野)編をお届します。県南部・置賜地方にある、米沢藩の学問所を前身とする伝統校です。初回は米沢市役所を退職後、「かぶき者」として人気の戦国武将、前田慶次の足跡の調査や史跡整備をする梅津幸保さん(72)=1963年度卒=が、高校時代の思い出や慶次について語ります。 【佐藤良一記者】

 一番の思い出は、やっぱり3年生の時の白布マラソン大会ですね。市内から吾妻(あづま)山中腹の白布(しらぶ)温泉までの約16キロ。頑張って走りました。女子は同じコースを駅伝リレーでつないだ。ゴール直前で女子に競り負けて250人中の74番。悔しかったな。でも、力を出し切ったし、だから、強く思い出として残ったと思います。

 高校時代は目立たない存在だったけど、こつこつ学校に通いました。勉強はついていくのが精いっぱい。部活は剣道部で、ぶつかり稽古(けいこ)をよくやった。70代の元教諭が老体にむちを打って稽古の相手をしてくれました。そこで、人間対人間の関係を学んだかな。今から考えると、社会人と初めて触れ合った体験でした。

  2年で担任だった松野良寅先生のことはよく覚えています。英語の先生だったけれど、人の家系図を全部頭に入れて何も見ないで話される、ユニークな先生でした。その頭脳が、学校史の集大成「興譲館世紀」を書かせたと思います。

 進学の時に、山形大工業短期大(現山形大工学部)を希望して、担任から「文系なのに何でだ」って聞かれました。自分では米沢に残って働きたかったし、それなら米沢織について研究しようと。大学では、一般教養で民俗学にひかれました。県内で見聞した各地域の獅子踊りの比較論など、何時間聞いても飽きなかった。それが将来進むべき道とつながったと思います。

  今、「米沢前田慶次の会」の会長に就いています。慶次の史跡を調査・整備し、週末に観光客などをガイドしたりという活動です。2011年に慶次の四百回忌を挙行したら、全国から1000人以上のファンが来て驚きました。関西や九州の人もいた。15年からは、晩年に慶次が住んだとされる「無苦庵」跡の発掘調査を始め、今年も夏に再開する予定です。

  「かぶき者」(華美を好み異様な風体をする)と言われる慶次は、自由奔放な生き方が魅力とされます。ただ、見落としてほしくないのは、最後は自分で責任を取る覚悟を常に持っていた人だったということ。豊臣秀吉に謁見した際、わざと変な格好で現れて秀吉を笑わせ、褒美をもらう段になって改めて正装した、というエピソードが残っています。不興を買って切られることも覚悟の上。ただの「おどけ者」じゃなかったんです。

  いま考えると、私もその時その時で人生の責任を取ってきたという思いがあります。それは、高校時代の先生や先輩の背中から学んだような気がします。

 うめつ・ゆきやす  1944年米沢市生まれ。67年山形大工業短期大を卒業後、米沢市役所に入庁。企画課長、市立米沢図書館長などを歴任。2005年に定年退職後、マンガやNHKドラマの主人公として人気が出た上杉家の武将、前田慶次を広く紹介する「米沢前田慶次の会」会長などを務める。置賜地方の石塔や民話などを研究し、著書に「草木塔を訪ねる」など。


現在の米沢興譲館高校。1987年に米沢市中心部から移転した

上杉鷹山設立の藩校が起源

 米沢興譲館高校は、歴代上杉家の中でも名君として地元で愛される、第九代米沢藩主・上杉鷹山が1776(安永5)年に設立した藩校「興譲館」が起源。第五代藩主・綱憲が1697(元禄10)年に設けた学問所を前身とし、財政難で閉鎖に追い込まれたことを憂慮した鷹山が再建した。学問だけでなく、実際に社会に役立つ人間を育成する場として、藩内から選ばれた20人の生徒でスタートした。

  1872(明治5)年、学制が公布され、藩校「興譲館」は廃止。74年、米沢中学校と改称。86年に学校令が公布され、「興譲館」の開校式を行った9月19日が創立記念日となっている。

  日清・日露戦争から第二次世界大戦まで、多くの陸海軍人を輩出。同時に民法学者の我妻栄(1897〜1973年)や童話作家の浜田広介(1893〜1973年)など、文化人も育てた。

 戦後の48年、学制改革で県立米沢第一高校となり、創立70周年の56年4月、県立米沢興譲館高校に改称。87年、中心部の米沢市西大通から、約5キロ離れた現在地に移転した。


 ■卒業生「私の思い出」募集

 県立米沢興譲館高校卒業生の皆さんの「私の思い出」を募集します。300字程度で学校生活や恩師、友人との思い出、またその後の人生に与えた影響などをお書きください。卒業年度、氏名、生年月日、職業、電話番号、あればメールアドレスを明記の上、〒100-8051、毎日新聞地方部「母校」係(住所不要)へ。メールの場合はtohoku@mainichi.co.jpへ。いただいた「思い出」は紙面や、毎日新聞ニュースサイトで紹介することがあります。


第2回 東京で知った故郷の風景 漫画家・ますむらひろしさん

武将・慶次その魅力・米沢でシンポ・エピソードなど紹介(2016年8月31日山形新聞)
「かぶき者」の実像追い続け・梅津幸保さん(2015年11月11日朝日新聞)
清水や庵、米沢に史跡 米沢前田慶次の会会長・梅津幸保さん(2009年8月26日山形新聞)