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人と人結びつける道具・やまがたボードゲーム協会会長・小野卓也さん(H4卒) 
(2017年5月12日山形新聞「提言・オピニオン」より)


やまがたボードゲーム協会会長・住職 小野卓也さん(H4卒)

 観光、まちづくりとリンク 楽しく生きるヒント学ぶ

 ボードゲームとは、電源を使わずテーブルを囲んで友達や家族で遊ぶものである。将棋もオセロも人生ゲームもその一種だが、ヨーロッパを中心に大人も楽しめるものが毎年何百種類と作られており、日本でも愛好者が増加している。近年は運や思考力だけでなく、コミュニケーション自体を楽しむものが多い。小さい頃からテレビゲームやスマホゲームに慣れ親しんできた若い世代にとって、ボードゲームは懐かしい遊びではなく、新しい遊びとして受け入れられている。

 そのボードゲームを普及する団体「やまがたボードゲーム協会」が昨年9月、長井市で発足した。きっかけとなったのは毎年3千人を集める長井市西根地区のイベント「ぼくらの文楽(ぶんがく)」にボードゲームコーナーが設置されたこと。子どもたちがひっきりなしに集まり、夢中になって遊ぶ様子をほかの若いスタッフが見て自分たちも遊びたくなり、友人を連れてお寺を訪れるようになった。

 そこでたくさんのボードゲームを楽しむうちに、まちづくりや観光とリンクし始める。スタッフはさまざまな職業に就いており、実行力はもちろん、好奇心とコミュニケーション能力が高い。そのおかげで地元商店街の商店主の集まりでも手ごたえをつかみ、理解が広まっていった。やがて、やまがた長井観光局による宿泊イベント「お寺でボードゲーム」が毎月開かれるようになり、長井市の「まちなか活性化事業」という制度を利用し団体を立ち上げた。

 同協会は毎月1回、市内の飲食点で励会を開いており、依頼があればボードゲームのレンタルやインストラクターの派遣を行う。これまでミニデイサービス、異業種交流会、地区の文化祭、子供会、学童保育などに出向いてボードゲームを紹介してきた。これに呼応し、楽しい方言かるた「ながいズーズ−かるた」が制作され、長井駅前に誕生した木製玩具店「Kimi(キミ)」でドイツと日本のボードゲームが販売されるなど新たな動きが生まれている。

 まちづくりや観光と結びついたことで、県内のメディアからも注目された。山形新聞をはじめ新聞・テレビ各社が次々に取材に訪れ、年末年始に記事や番組をご覧になった方も多いのではないか。

 趣味で細々と続けてきた身としてボードゲームがまちづくりや観光につながるとは思ってもみなかったが、愛好者だけではここまで広がらなかっただろう。ボードゲームは人と人とを結びつける道具であり、活用するには自分の仲間内だけでなく、子どもからお年寄りまで地域社会全体を見渡す視点が必要となる。長井市には広い視野を持った人がたくさんおり、その中にボードゲームがうまくはまり、有機的な連携を生み出している。

 「お寺でボードゲーム」の参加者に対し、朝のお経を読んだ後、ボードゲームに絡めた法話を行う。積極的に人と関わることの大切さから、目の前に座っている人との一期一会を大事にすること、さらには短い一生を楽しく輝かしく生きるヒントに及ぶ。これらは私自身がボードゲームを通じて学んだことだ。お互いに迷惑を掛け合ってこそ人間。家族団らんや親戚の集まり、地域の会合など、人と人とが直接顔を合わせて語らう機会をもっと大切にしてほしい。その一助としてボードゲームを活用していただければ、この上ない喜びである。
(長井市在住)

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