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わたしの料理・ワカメと白身魚の酒蒸し・ラズウェル細木さん(S50卒)
(2017年4月21日朝日新聞より)


ラズウェル細木さん(S50卒)。

 ラズウェル細木さん(60・S50卒)は1983年、マージャン漫画でデビューしました。

 「いくら描いても人気が出ないんです。マージャンしながら飲み食いするシーンを入れてみたら、だんだん飲み食い系の仕事が来るようになりました」。ラズウェルさん自身もマージャンよりも飲んだり食べたりする方が好きで、「それが読者に伝わったんでしょうね」。

 そうして、主人公のサラリーマン、岩間宗達(いわまそうたつ)が酒と肴(さかな)を楽しむ「酒のほそ道」の連載につながります。

 「酒のほそ道」の単行本にはどれも、漫画に加えて「宗達流四季の肴」という書き下ろしのレシピコラムが4本ほど収められています。「ワカメと白身魚の酒蒸し」は、単行本13巻に掲載されています。テレビ番組で見た料理を参考に作るようになったそうです。材料も少なく、作り方もシンプル。早く飲みたい飲んべえにはぴったりです。今回はタイを使いました。

 ワカメは乾燥ワカメではなく、塩蔵ワカメか生ワカメを。少し多すぎるかな?と思うぐらいフライパンに敷いても大丈夫。ワカメのほどよい歯ごたえと磯の香りで、ぺろりと食べられます。蒸したらふたをとり、ワカメがちりちりと音をたてて少し焦げるぐらいまで加熱するのがポイントです。日本酒のぬる燗(かん)がよくあいます。

 大の酒好きのラズウェルさんは、とっくりや杯のコレクターでもあります。好きなタイプの杯は、外に開いていて縁が薄いもの。酒の香りが立ち、きれもよいからです。

 撮影のために訪れた都内の自宅兼仕事場には、あちこちに杯がありました。新井薬師の骨董(こっとう)市で買った杯。香港のお茶屋さんで買った小さな茶杯。行きつけの居酒屋でいつも使っていた杯を、閉店するときにもらったもの。

 思い入れのある杯なら、今日の晩酌もいっそうおいしくなりそうです。(構成・沼田千賀子)


 

 作ってみたら

 タイもワカメも、どちらも主役の料理です。

 塩蔵ワカメとタイの切り身で作りました。ワカメは3分弱、いい具合に塩気が残る程度に水で戻しました。タイは火が通りやすいように半分に。フライパン一つでできて、調味料は塩だけ。酒を加えて蒸すだけなのに、ワカメもタイもふっくら。こんなにおいしくなるとは感激です。

 これまでワカメを使った料理はみそ汁か酢の物、サラダぐらいしか作ったことがありませんでしたが、ワカメがたくさん食べられるいい料理を教わったとうれしくなりました。

  • 材料と作り方
  • 《2〜3人前》 タイやサワラ、銀ダラなどの白身魚1〜2切れ(100グラム)、塩蔵ワカメ(戻した状態で)150グラム、酒3分の1カップ
    1. 白身魚の切り身は大きければ半分に切る。塩少々をふり、しばらくおく。塩蔵ワカメはほどよい塩加減になるまで水で戻す。
    2. ワカメの水分を絞り、食べやすい大きさに切ってフライパンに敷き詰める。魚の水分をキッチンペーパーでふいてからワカメの上にのせ、酒をまわしかける。
    3. フライパンにふたをし、強めの中火で5〜6分蒸す。水分がなくなり、ワカメがちりちりと音をたてるようになるぐらいまで加熱する。
    • 生ワカメで作るときは好みで少し塩をふるとよい。

■らずうぇる・ほそき 1956年、山形県米沢市生まれ。早稲田大卒。2012年に「酒のほそ道」などで第16回手塚治虫文化賞の短編賞を受賞した。著作はほかに「大江戸酒道楽」「う」など。

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