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提案、実現 とても充実 五十嵐至さん(64・S43卒)  南アフリカ共和国、PCインストラクター
(2014年7月19日山形新聞より)


視察に訪れた社会開発省の人たちと写真に納まる五十嵐至さん(中央・S43卒)

 南アフリカ共和国のエリムという人口7千人の小さな町に来て、ちょうど3か月が過ぎました。
 南アフリカというと、非暴力主義で黒人解放を成し遂げた故マンデラ大統領や、最南端のケープタウン、サッカーのワールドカップ開催などを思い浮かべますが、面積は日本の約4倍、人口は3分の1程度の開発途上国です。
 私がシニア海外協力ボランティアに参加した動機は、このまま無為に年を取りたくないというものでした。運良く実現でき、任地に来て3カ月がたちます。このわずかな間で、世界には、日本人の力を欲している人たちや場がたくさんあるということに気付きました。
 今の職場は高齢者ケアや若者就業支援、孤児・貧困家庭の学童保育、HIV/エイズ患者の在宅ケアといった社会福祉事業を営むNPO法人です。採用時の基準はコンピューター教育を担うことでした。ですが着任後1カ月でコンピューターの利活用とトラブル対応マニュアルの整備、経理部門の業務改善、経営改善まで期待されるようになりました。
 大切だと思ったことは1.現場を見ること 2.自分が得意なことで相手が喜ぶと思うことをやる(私は職場の全員への日本食の提供を含め、毎週1回は料理を作ってもてなしています) 3.できることは守備範囲を超えてもやる 4.決して悲観的にならず、どうすればできるかを考える―です。
 困ったこともあります。職場の就業時間は8時間ですが、始業時刻もバラバラで、半分は休憩時間やおしゃべりや私用などに割かれていて、それでも忙しいと言い訳をすることです。これも、郷に入っては郷に従えの通り、自分の役割をせっせと実行するだけと割り切ることにしています。
 日々、現場のスタッフの仲間と何気ない会話をしながら、困っていること、当たり前にやっていることに対して、もっと合理的にできる方法があるのではと、気付いたことを提案。そして、彼らがうなずいたことを一つ一つ実現していくという地道な活動がほとんどですが、とても充実感を味わっています。
 私との会話は英語でしてくれます。実際、現地の人たちの会話は「ツォンガ」という現地語で、これも南アフリカ共和国の公用語の一つです。ちんぷんかんぷんですが、私が話すあいさつ程度の会話でも皆が喜んでくれます。
 残り3カ月という短期間ですが、自分にできることで将来この国の原動力を担う若者たちが日本を、そして世界を視野に活躍してくれることを念頭に貢献していきたいと思っています。

 五十嵐至(いがらし・いたる) 米沢興譲館高から神奈川大工学部に進み、卒業後は日本IBMに勤務。中国駐在などを経て、2000年に50歳で早期退職して帰郷。国際協力機構(JICA)の短期シニア海外ボランティアとして2014年4月から南アフリカ共和国に派遣されている。職種はPCインストラクター。米沢市出身、64歳。

7月19日山形新聞