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優しく陽気な住民たち 芳賀由佳さん(27・H13卒)白鷹町出身 エジプト・理学療法士
(2010年4月7日山形新聞掲載記事)

芳賀由佳さん
障害者施設の子どもたちと写真に納まる芳賀由佳さん(左)

 今年1月5日に大雪の山形から出発し、エジプトに着いた時には日だまりの暖かさにびっくりしました。エジプト人は日本に好印象を抱いており、みんなが「おしん」を知っています。
 初めの1カ月は、首都カイロで語学訓練を行いました。カイロで驚いたことは、砂ぼこりの多さと乾燥した空気、騒然とした車の波です。クラクションが鳴りやむことは無く、すき間があれば入り込み、道路がいつの間にか3車線、4車線となるエジプト人たちの運転に、初めは同乗していて気が気ではありませんでした。
 交通手段はバスが中心ですが、古い車ばかりで、人に後ろを押してもらい、少し動いたところでエンジンをかけて発進する車もいます。それでも、陽気でどんな時でも感情をありのままに表現するエジプト人たちの姿は、見ていてとても気持ちがよいものです。
 現在は、赴任地のダミエッタという街に住んでいます。家具とお菓子作りが盛んな街として有名で、地中海に面した、ナイル川の終点の都市でもあります。住民たちはとても優しく、まじめで、「エジプトの日本」ともいわれています。イスラム教のお祈りの時間を除いて、大工の仕事をする音が街に響き続きます。
 私の配属先は社会連帯省のダミエッタ支局で、障害者施設2カ所とリハビリテーションセンター1カ所を巡回・指導しています。リハビリが必要な子どものために家庭訪問を行うこともあります。エジプトは親せき同士の結び付きが強い国です。親せき同士での結婚が多く、障害児が多い要因の一つといわれています。実際、日本よりも障害児を見かける機会が多いように感じます。理学療法の技術の伝達、施設の環境改善と同時に、障害者の社会参加が広がる活動を目指しています。
 配属先での活動が始まって約1カ月。仕事の内容も習慣も日本と異なることが多く、戸惑うこともあります。エジプト人の優しさ、陽気さと笑顔を力に替え、活動を頑張ろうと思います。

ナイル川
ダミエッタの中心部を流れるナイル川

芳賀由佳(はが・ゆか)さん:米沢興譲館高から埼玉県立大に進み、卒業後はさいたま市の東大宮総合病院に理学療法士として3年間勤務。成人の外来、入院の患者を中心にリハビリを担当した。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員に応募し、今年1月にエジプトに赴任。首都カイロの北約270キロの街ダミエッタにある障害者施設などのリハビリの指導などに当たっている。今回が初寄稿。

3月3日山形新聞