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人間関係の変化を実感 大竹 舞さん(28・H12卒)南陽市出身 ベナン・村落開発普及員
(2010年3月3日山形新聞掲載記事)

大竹舞さん
視覚障害者グループのメンバーと写真に納まる大竹舞さん(右から3人目)

 ある日、なじみの豚肉屋さんに行くと、老け顔をした店主が「(自分の年齢は)28歳だ」と言いました。その場にいた人はみんなびっくり。数ヵ月後、その豚肉屋さんの親せきが「あの人は、本当は35歳だ」と教えてくれました。そうです、豚肉屋さんはうそをついていたのです。ただし悪気は一切ないようでした。
  ここ西アフリカのベナンという国では、人の言っていることが本当かうそかわからないことがよくあります。何か頼んでも必ず「Yes」という答えが返ってくるのですが、本当の時とそうでないときがあります。それが初めは理解できませんでしたが、争いごとを嫌う文化が影響しているのでは、と思うようになりました。
  焼きもちを焼きやすいベナン人の中で、誰か一人だけ出世をしたり、いい思いをすると、「グリグリ」というアフリカ独特の呪いをかけられ、病気になったり、事故に遭うとベナンでは信じられています。うそをついたり、「No」と言わない性格はもしかしたら、グリグリから身を守るために身に付いた習慣なのかもしれません。
  私がそんなベナンに来て1年と半年以上が過ぎました。異なる文化の中で人と信頼関係を持つことの難しさを感じながらも、信頼できる友人を何人か持つことができたのはうれしいことです。そしてもう一つ、人間関係の変化がありました。私が普段一緒に活動している視覚障害者グループと福祉センター、市役所の関係です。グループの存在をよりよく知ってもらうため、毎年企画している啓発イベントを2009年も12月に開いた際、前年は一切協力してもらえなかった福祉センターと市役所から協力を得ることができたのです。
  視覚障害者グループの会長は、福祉センターと市役所の人からひどく嫌われており、それが長年の人間関係の問題となっていました。絶対に無理だと思いながらも、両施設に協力を求めてきましたが、それが今回、実を結んだのです。人間関係は変わる。そして、自分の存在が周りに与える影響も少なくないということを実感しました。
  一つ一つ問題が解決していくたびに、自分のベナンでの生活の終わりが少しずつ近づいていることを実感します。ここでのたくさんの出会いに感謝して、残りの任期もやるべきことをしっかりやりたいと思います。

啓発イベント
啓発イベントで音楽を演奏する視覚障害者グループのメンバーたち

大竹舞さん:米沢興譲館高から早稲田大政治経済学部に進み、卒業後は東京の株式会社インターンシップ総合研究所に勤務。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として2008年6月、ベナンに赴任。職種は村落開発普及員。記事の寄稿は3回目。
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3月3日山形新聞