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“産学金”の連携強化 種村信次米沢信用金庫理事長(S33卒) 
(2010年1月29日山形新聞掲載記事)

種村信次さん
種村信次 米沢信用金庫理事長(S33卒)


2010経済の戦略 県内企業トップに聞く 13

-多くの製造業が集積する米沢地区の景気動向は。
  「昨年1〜3月が底だった。八幡原工業団地(米沢市)を中心に電子機械、自動車関連の企業で雇用調整が進み、非正社員らが削減の対象となった。工業団地の総雇用者数を2008年4月時点で約4400人、1年間で約3500人まで減ったようだ。6月まで削減の流れは続いた。7月から回復も見られたが、仕事回復率は以前の5〜6割程度。一方、大河ドラマ天地人の影響で年間を通して交流人口が増加する特需もあった。これに伴い土産品や加工食品の事業所は好調だった」

-今年はその反動も予想されるが。
  「確かに1月に入って観光客の足が止まったように見える。来月から初夏まで続く祭りやイベントは一定の集客が見込めるが、そのあとが勝負となる。明るい材料としては、米織関係でフランスのルイ・ヴィトンと大きな取引に結び付いたケースがある。ウエートの大きな電子関連は製造拠点の海外移転懸念される状況だ。特に量産系の企業に影響してくる。悲観的にとらえず、立ち向かうべき変革の波だと思う」

-信用金庫としていかに中小企業を支えていくのか。
  「先ごろ打ち出された金融円滑化法は従前の業務の延長であり、財務面の支援は積極的に進める。一方、金融支援だけで企業サポートは不十分。求められるのは目の前の仕事や、経営効率化の実践。山形大と協力した“産学金”連携をさらに強化し、実のある支援につなげたい」

-具体的には。
  「山形大、新庄信用金庫と共同で、中小企業庁の地域力連携拠点整備事業の認定を受け『産学金連携横町』を立ち上げた。企業を訪問支援するコーディネーターの育成も進み、これまでの相談件数は約5百件に上る。このうち50件程度は専門家を派遣して具体的なビジネスへの発展を目指している。また、「いい食感!やまがた」と銘打ち、食品加工業者のビジネスマッチにも取り組んでいる。県内全域から隠れた食材などを発掘し、約70社をとりまとめた。地域に根差す信金ならではの力だ。主に関東地方へPRして販路や取引の開拓を図っていく。この取り組みは全国に約300ヵ所ある連携拠点の中でベスト25にも選ばれた。ただ、連携拠点に対する新年度予算は国の事業仕分けで廃止判断となり、先行きは不透明。新年度からは自己負担などの形で活動を継続したい。企業とともに汗を流すことが信条だ」

-信用金庫の体力にも心配が残るが。
  「信金は出資を預かり、地域へ還元する金融機関。不良債権もある程度は多くなる。経営改善の努力は当然だが、地域密着であり続けることが何より大切だ。地銀と対抗する立場でもないし、協調しながら企業支援を展開していく」

-庄内、村山で信用金庫や信用組合により合併が続いた。置賜地方における再編は。
  「今は。互いに考えていないと思う。営業基盤もそれぞれが独立している。将来的に気運が高まれば、その時考えたい」


 

1月29日山形新聞