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アジアと共に成長 地域の文化、歴史は元気のもと
亀森俊博ハイメカ社長(S43卒)  (2010年1月24日山形新聞掲載記事)

亀森俊博さん
亀森俊博 ハイメカ社長(S43卒)


2010経済の戦略 県内企業トップに聞く 9
  -2010年の景気をどう展望する。
「決して良くはない。ましてV字回復などあり得ない。昨年は『100年に一度の経済危機』と言われたぐらいで、景気が回復に向かっても、すぐに数年前の水準に戻ることはないだろう。今、経済そのものが100年単位の変化の中にある。日本や欧州の経済はこれまで、米国の消費社会の恩恵を受けて成長してきたが、それがサブプライム問題でストップを余儀なくされた。こうした大量消費依存の構図が修正されない限り、日本の景気が早々回復するとは考えられない」
-円高の影響は。
「当社の場合、海外企業との取引は円建てが多いため、直接的な影響は少ない。だが、国内の取引先には円高の影響で設備投資が滞っているケースもある。その意味では当社への影響も大きい。また、海外の企業と新たに取引を始める場合、相手がドル建てを希望してくることが増えている。ドルの威信は低下したものの、世界の通貨である以上、その傾向はますます強まると考えられ、為替動向を注視していく必要があるだろう」
-日本は、少子高齢化が進み、成熟社会に入ったといわれる、低成長時代における企業経営には何が必要か。
「世界がグローバル化している中で、日本だけで成り立とういう考えではこの先立ち行かなくなる。中国やアジア諸国をライバル視するのではなく、日本も彼らと一緒に成長していこうというスタンスが大事だ。そうでなければ日本は取り残されてしまう。米国流の自由主義は、収入の何倍もの消費を許すような状況にあった。こうした構図はどこかゆがんでいる。ソ連の崩壊後、社会主義、共産主義が衰退し、米国の資本主義経済は一人勝ちしてきたが、そのために“行き過ぎ”が生じたのではないか、それに倣って成長戦略を続けてきた日本や欧州も、財政赤字が膨らむ結果になっている。その過ちから脱し、新世紀にふさわしい価値観、経済構造へと早く切り替えなければ、景気の回復がどんどん遅れてしまう」
-新しい時代におけるグローバル戦略は。
「わが社はこれまで米国や欧州に製品を出荷してきたが、これからはモノだけでなく、人こそ国境を越えて、グローバル化していかなければと考えている。製品だけでなく、人もどんどん海外に出ていくことが必要だ。その意味で国際感覚を持った人材の育成が重要になる。企業も人も、世界に通用する価値観を養うことが大事だ」 -県内経済は持ち直しつつあるといわれるが、製造業のウエートが高い米沢地域は長引く景気低迷で雇用環境が悪化している。地域経済の立て直しに何が必要か。
「ものづくりの視点も大事だが、それ以外に、地域の文化に光を当て、経済活動に役立てていくことも大切だ。米沢には優れた歴史、文化がある。それらを見直し、磨き上げることで、地域住民が米沢に住むことに自信を持てるようになり、マインドの部分が元気になる。この機会に、これからの低炭素時代を生きるため価値観を見直すことも大事。たとえば、エネルギーの消費量をこれまでの半分に減らすような暮らしをしても、満足できる生活ができないか。新世紀を生きるための自覚と価値観を見出すことが大切になってきている」

 

1月24日山形新聞